Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

甘手のお皿

2022-10-12 23:53:45 | 古伊万里
しぶとく続く再編集の古伊万里シリーズですが、今回は磁器の世界ならではの「甘手」のお皿を二枚紹介します。

「甘手」なんて言葉は伊万里を収集し始めた頃は知らない言葉で、今日紹介する二枚は甘手が何であるか知らずに購入した品です。
しかも、二枚とも「全面甘手」の品だったりします。

① 柴コレにも収録されている寛文期の五寸皿

薄作り、鋭い高台、濃い発色の呉須、さらに墨弾きと寛文期の古伊万里の特長を備えたお皿ですが、甘手です。
指で弾くと鈍い音がしますが、染付の発色は甘手故なのか非常に魅力的な発色です。
花の部分の拡大ですが、ピリピリと入った細かい貫入が見えるでしょうか

裏面は煙が入っていますが、落款は「宣徳年製」
ワタシが藍九谷にハマるきっかけとなった品でもあります。

➁ こちらは元禄期の七寸皿です
染付けで花が描かれていますが、この花の部分のグラデーションの見事さはウチの品の中では一番だと思っています
①の品と共通している点として、ちゃんと焼きあがった品よりも深く美しい呉須の発色であることがあげられます
もし甘手でなかったら、こんな魅力的な発色にはならなかったのでは?、などと想像しています。

裏面の唐草部分の拡大ですが、やはり細かい貫入が判るでしょうか

落款は一般的な大明成化年製です
古伊万里の世界では甘手は傷物扱いですが、こうして見ていくと甘手ゆえの魅力を見出すこともできそうです。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酒田の人さんへ (遅生)
2022-10-13 12:17:06
さんさすが、酒田の人さんですね。
甘手に美を見出すのは卓見です。
私は、見過ごされたり、見捨てられたりした物に妙に惹かれれます。
甘手もその一つです。

甘手はどうして甘手なんでしょう?
十分に温度が上がらなかった理由は、窯の中の位置?火の具合?
水分は十分に飛んでいるはずですが、ボテッと重いのは本来なら熱で飛散する成分が残っている?
わからないことばかりです。
ジカンができやすいのは、冷える時のボディの収縮度が大きいからというのは多分本当でしょう。

安価に、ジカンの美を味わえるので、ビンボーコレクター向きの品です(^.^)
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酒田の人さんへ (Dr.K)
2022-10-13 12:52:26
良い呉須の発色ですよね(^_^)
私も、コレクションを始めた頃は、甘手が傷物とは知らずに、それほど気にしないで買っていました。
ヒビ焼」ということで、わざわざヒビが入るように焼くものもありますものね。

甘手は割安で買えますから、今でも、それほど気にしないで買っています(^_^)
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遅生さんへ (酒田の人)
2022-10-13 23:37:52
一流コレクターにとっては「甘手」はただの傷物なのかも知れませんが
貧乏コレクターにとっては「安くて魅力のある品」だったりします(ワタシだけでしょうか)
茶道具に代表される鑑賞陶器にとっては傷や直しも「景色」ですが、磁器の場合はそうならない
確かにそうなんですが、何か取り柄があるはず、などと考えていたら
染付の甘手は発色が良い品が多いことに気付いた次第です。
甘手なってしまう原因は窯の中で十分に温度が上がらんかった事らしいですが
伊万里では中期以降は甘手が極端に少なくなりますので
技術革新があったのかも知れませんね。
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Dr.kさんへ (酒田の人)
2022-10-13 23:43:31
たしかに「ヒビ焼き」や青磁の貫入は別に傷物ではありませんよね~
昔読んだ骨董関連の書籍では、「甘手は傷物としては扱わない」という記述もありましたが
現実的には甘手の経済価値は低い訳でありまして、このあたりが骨董の微妙さかも知れませんね。
ワタシも時代のしっかりある品なら甘手はきにならないので
安ければ購入してしまいます。
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