Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 63(平戸枇杷文五寸皿)

2020-05-24 23:03:09 | 古伊万里
平戸焼は広い意味では伊万里の仲間であるとは言えますが、白く美しい土を生かした細工物などに優品が多いように感じます
研究によると、平戸焼きは享保期まで遡るらしいですが、イメージとしては江戸後期の藩御用品の精緻な品や、明治あたりと推測される
墨弾きや薄瑠璃の技法を生かしたお皿が思いだされます。
そんな訳で今回は恐らくは明治期と想像される平戸の、「染付枇杷文五寸皿)です

長崎県はビワの一大産地のようで、当然のように平戸もビワの産地です
そういって意味では、ご当地文様(?)ではありますが、このデザインはどっかで見たような気がします。

↑の画像は借り物ですが、後期鍋島の「藍鍋島栗文七寸皿」です
葉の半分を濃い染付にしている点、さらには全体の構図には共通点を感じますが、鍋島の方はお約束通りに
葉の先端部分を捻じった形で描かれています。ただし、どちらの品も器形的には明治期に見られる(業者さんは江戸後期と言うが)、鍋島写しの木盃形をしています
やはり鍋島から流れた職人さんが作った(あるいは指導した)ということなんでしょうか。
この品、実は表よりも裏が個性的でありまして、↓の画像から判るように、高台の中まで絵付けして法螺貝が描かれています


平戸は結構好きなんですが、恐らく裏文様が普通の鍋島写し(七宝繋ぎ等)だったら、購入しなかったかも知れません。


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4 コメント

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ほら貝 (遅生)
2020-05-25 08:46:18
ほら貝の絵には驚きますね。
私の知る限り、他に例を見ないのではないでしょうか。
裏とはいえ、こんなに大きく大胆に描くのには、何か訳がある?
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酒田の人さんへ (Dr.K)
2020-05-25 12:45:45
裏文様が凄いですね!
高台内にまで描かれているケースは少ないですよね。


ところで、平戸焼(三川内焼)について書かれたものは少ないですよね。
「長崎県窯業技術センター」というホームページがありますが、そこに「やきもの基礎知識」というものが載せてあります。
その中で、平戸焼(三川内焼)400年の歴史をコンパクトにまとめてあります。
参考になりますよ。
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遅生さんへ (酒田の人)
2020-05-25 21:01:36
この裏文様の法螺貝、何か理由があって描かれたのか、あるいは陶工の遊び心なのか・・・
裏文様が高台の中まで描かれている作例は他にもあるようですが
この品のように表に描いても良さそうな文様を裏に描いているのはちょっと珍しいかも知れませんね。
(大ボラこいたれ!、という陶工の遊び心なら面白いんですが・・・)
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Dr.kさんへ (酒田の人)
2020-05-25 21:05:50
明治の平戸とはいえ、裏に大きな法螺貝というのは面白い作例なのは確かですよね
近年は明治期の平戸も上手の品はなかなか目にしなくなりました。
平戸焼の歴史に関する情報、ありがとうございます
確かに平戸の場合は伊万里のような研究が進んでいないのは間違いありませんので
特に古い時代の平戸については興味が尽きないように思います。
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