Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 83(染付投網人物文七寸皿)

2020-10-02 20:05:30 | 古伊万里
 古伊万里の大師匠であるDr.kさんのところで、「染付投網人物文深皿」が紹介されました
そこでワタシも便乗して同じような手の品を紹介することにしました。
「染付投網人物文七寸皿」


Dr.kさんも書いておられるように、この文様の品は中期末~後期にかけて大量に作られたようで
骨董市などでもまとまった数で売られていることが多かったように思います。
Dr.kさんの紹介されている品は絵柄も特徴があるのに対し、ウチの品は同じ絵付けの品が大量に存在するタイプの品です
染付の色が天明~寛政期に見られる「茄子紺」と呼ばれるタイプのものであることから、時代的には間違いない品ですが
正直なところ、「生活骨董」のジャンルに属する品であることは確かです。



裏面は天明期に見られる芙蓉手に習ったもののようで、この点でも典型的なこのタイプの品であることが判ります
さて、Dr.kさんと共に、ワタシにとっての古伊万里の師匠であるミーコさんはこの品を、「天明の灰皿」と教えてくれました。
確かにそんな感じですが、良く見ると吸いかけのタバコを置く場所(違いますが)に漢詩のようなものが墨弾きで書いてあります
これを辿っていくと

「引網者」

「思有意」

「暗浮遊」

「不得魚」
と読めます

これは一体何でしょうか?
ワタシは漢詩の知識はありませんので、何のこっちゃワカランのですが、「不得魚」で検索したところ
似たような漢詩を発見しました。
「垂釣者不得魚暗知浮遊之有意」
これは、「本能寺切」(ぜんぜん知らない・・・)の中にある漢詩の一部のようで
「釣を垂らす者は、魚を得ることは出来ないけれども、それとなく水の中を浮遊することの意味を知る」という意味だそうです。

伊万里には漢詩を書いた品(赤壁賦)もありますので、これもそういった流れなんでありましょうか。

この品、正直なところ伊万里としてはたいした品ではありませんが、良く見てみると面白い発見があることを感じました。