「容疑者Xの献身」 東野圭吾著
数学教師の石神が毎日通う弁当屋には、彼が住むアパートで
隣人の花岡靖子が勤めている。靖子には一人娘の美里がいた。
ある夜、親子の部屋に別れた夫、富樫が訪ねてきた。
「よりを戻そう」と言い寄るが、金をせびるのが目的だった。
靖子は美里を助ける勢いで富樫を殺してしまう。
物音に気づいた石神が訪ねてきて死体を見つける。
石神は冷静に親子にアリバイ作りの指示を与え、周到な計算と
綿密な計画を立てて殺人を隠蔽する。
警察は犯人に辿り着けず、捜査は難航するがその事件に
興味をもった大学助教授の湯川が少しづつ真相を推理する。
石神と再会した湯川は真相に近づくにつれ苦悩する。
「献身」とも言える彼の計画は成功するかに思えたが…。
警察さえも見抜けない恐るべき巧妙なトリックと、天才湯川が
惜しむほどの頭脳を持つ石神でも、唯一計算外だった人間の
感情との対比が鮮やかに描かれていて見事でした。
今年8冊目の読書でした。