堺北民主商工会

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ノン市場経済

2008年02月01日 11時44分12秒 | 世間の話
 60歳以上の高齢者が50%以上を占め、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落を限界集落と呼ぶ。現在、全国に7878ヶ所存在し、その中で今後10年以内に消滅するだろうと言われるのが実に423にも上る。
 兵庫県の村岡地区は平成11年に日本棚田100景に選ばれた素晴らしい景観を有していた。ところがその後、限界集落となり今は棚田には雑草がうっそうと生い茂り、見る影も無い荒地と化してしまった。僅かに2~3枚の棚田は畑となり年老いた住民が自給用の農作物を栽培している。しかし、その作物も収穫間近になると近くの山から出没する鹿や猪に食い荒らされ全滅する有様だ。
 村岡地区はひと昔前、130世帯の全てで牛を飼育していた。棚田の雑草を刈り取り、その草を牛の飼料とする。そして、牛糞は棚田の畑の肥料となる。と言うように食物連環が出来、生活環境がうまく機能していた。しかし、限界集落となった今は僅かに1軒だけが牛を飼っているに過ぎない。
 農村集落が次から次へと消えていく。
 何故、このような現象が起こるのだろうか?
どうする事も出来ない自然の成り行きなのか?
 決してそうではない!
 農業をいかに育成するか。農村の暮らしと環境をどう守っていくか。生活と経済の連関をどう進めていくか。…このような課題を政治が如何に支えるか。と言う事に尽きる。
 ドイツに人口4,000人あまりのヒューゲルハイムと言う村がある。この村も1985年頃、限界集落と同じような状況であった。ところが、時のドイツ政府が採った政策は日本と雲泥の差があった。即ち、豊かな自然溢れる農村を絶対に消滅させてはならない。必ず、農村の原風景を守ると言う政治を行った。荒れ果てた土地に植林をすれば政府は補助金を出す。傾斜地に果樹を栽培すれば政府は補助をする。等、34項目にも上る補助金制度を創立し、市場経済での競争を考慮せず、環境とエコロジカルに徹した農村育成を開始した。コンクリートを使用しない小川を造成し、すると小川には川魚が群れを成して泳ぎだし、生垣は土盛りだけで林檎や洋ナシで土留めして、空き地には緑肥と呼ばれる草を覆い尽くした。正に、自然が自然を呼ぶエコロジー集落が実現した。すると、この地にドイツのアチコチの都市から心の安らぎと自然を味わうために観光客がドッと押し寄せるようになった。
 この結果、皮肉にもヒューゲルハイム村は市場経済によって淘汰される事無く、見事に生き生きとした緑と畑、自然豊かな農村として生まれ変わったのである。
 今、日本は「政治とカネ」が問題となっている。カネ(我々、国民の税金)を見る目がドイツと日本ではどうしてこんなにも違うのだろうか!
 そして、何時になれば人間社会を真剣に見つめる政治を実行する政府が誕生するのだろうか?

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