堺北民主商工会

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励まし

2008年01月18日 09時13分12秒 | 世間の話
 「ちりとてちん」(?)とは三味線の音色から発せられる微妙な音、旋律の擬音語を言う。そして、上方落語の演目の1つでもある。江戸時代には「酢豆腐」で演じられていた。
 昨年10月1日からスタートしたNHK・朝のドラマが「ちりとてちん」。ヒロインの和田喜代美(貫地谷しほり)は福井県・小浜市で塗り箸職人の父・和田正典(松重 豊)と母・糸子(和久井映見)の両親の下に生まれ、高校まで当地で育つ。同級生に同姓同名の友達が居て彼女は成績優秀、何事に付けても秀でており何時もクラスのマドンナ的存在であった。だから、喜代美はB子と呼ばれ(勿論、マドンナの友達はA子)、常にA子の影の存在として育った。
 そんな彼女が「自分が本当にやりたい事を見付けよう」と大阪に出て来る。そこで出逢ったのが今は落魄れた落語家の徒然亭草若。この師匠には昔、4人の弟子(草原・草々・小草若・四草)が居り、落語界では1目置かれていた。喜代美はそんな師匠に何と無く魅かれ、女だてらに落語家を目指して弟子入りする。
 まあ、こう言ったストーリーのドラマである。脚本は藤本有紀、テーマ音楽は佐橋俊彦のオリジナル曲が女優でありピアニストの松下奈緒が奏でている。
 このドラマの時代背景は現代だが、何故か昔懐かしい気分にさせられる。登場するキャストが各々、悩み、傷つき、迷い、人生(生きること)に絶望する。そんな時、キャストの誰かがさり気ない励ましの言葉を掛ける。それと言って人生論的な事を言うのでは無く、ごく自然に掛ける言葉なのに心が和み、生きる勇気が湧いてくる励ましである。
 例えば、喜代美がこれからどう生きようかと悩んでいた時、おじいちゃんの和田正太郎(米倉斉加年)が彼女に次のように言う…「人間は箸(塗り箸)と同じや。磨いで出てくるのは塗り重ねたものだけや。一所懸命生きてさえいれば悩んだ事も落ち込んだ事も綺麗な模様となって出てくる。お前のなりたいものになれる」(因みに、若狭塗り箸は卵の殻や貝殻を細かく砕き、箸に模様を作り、その上から漆を塗り重ねて行き、漆が乾いてから箸を磨ぐ。すると、世界に1本しかない見事な模様が創り出される)。
そして、このような場面では必ず、しみじみと心に滲みるあのテーマ音楽がギター(やピアノ)の音色で流れ出す。
 誰もが、こんな励ましの言葉を掛け、優しい心を持っていれば争い事や悲しい事件は無くなっていくだろうに!
 それにしてもヒロイン・喜代美が喋る何処となくハングル調に似た語尾を少し伸ばす福井弁か小浜地方の方言かは分からないが、その口調は実にこのドラマにぴったりとマッチする。
 朝ドラマ「ちりとてちん」は今年3月末まで続くのだが、和田喜代美の行く末がどうなって行くのか楽しみだ。