堺北民主商工会

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心を読む、そして…

2007年09月21日 11時02分49秒 | 世間の話
 今年4月から始まったNHKテレビの朝ドラ(マ)は「どんど晴れ」。朝、時間になると小田和正の透明感溢れる声(テーマソング「ダイジョウブ」)が茶の間に流れ出す。
 このドラマは横浜のケーキショップの娘である夏美(比嘉愛未)が東北・岩手の老舗旅館・加賀美屋の若女将として修行を重ねていくストーリーである。
 ある時、夫婦の常連さんが加賀美屋を訪れる。顧客管理はこれより少し前から夏美の夫(征樹)がパソコンを活用して行っていた。
 ところが、この常連の客の名前が読み方が全く、同じで別人の顧客リストのファイルを夏美が見てしまう。
 そして、この別人のファイルから料理の趣向、部屋の趣味、もてなしの情報を担当の仲居に指示する。
 当然の事ながら、この後は大変な騒動が起こる。
 その時である、女将の環(たまき)が皆の前で、この常連客の昔話を始める。
 「この人(常連客)はねぇ、昔、東京で事業をしていたのよ。ところが、経営に行き詰って、多額の借金を背負って倒産してね。奥さんと「冥途のみやげ」にと、うちの旅館に宿をとってくれたのよ。
 この時、客の相手をしたのが大女将のカツノだったの。大女将はこの客が死ぬために、ここに来た事をちゃーん見抜いていたのね。
 客がここを立つ時、お礼の挨拶で大女将は客に向かって、こう言ったのよ。…「夕べは心行くまで、御寛ぎ戴けましたでしょうか。どうか、来年も必ず、ご夫婦で加賀美屋に御出で下さいね。待ってますよ」」

 そんな事があってから、この客は毎年、加賀美屋に来る事を楽しみにしているのだ。こんな事情(出来事)があったのを知った夏美は改めて、女将としての修行の奥深さと難しさを噛み締めるのだった。

 旅館・加賀美屋の玄関には「来者如帰」の看板が掛けてある。「来る者、帰るが如し」と読み、「来る者が我が家に帰って来たようにくつろいでもらうように」と言う意味で、加賀美屋の接客(おくつろぎ)の心。
 それにしても大女将の客の心を読み取る力は大したものだ。そして、それにも増して、さり気なく掛ける言葉が客を気遣い、自殺を思い止めさすとは。
 人によっては直接的に、そのものズバリを指摘する場合も多い。しかし、この手法は言い方によっては人を傷つけ、2度と立ち上がれなくなる時もある。さらに悪い事には、その人を傷つけた事を当の本人が全く、気付いていない人も多い。

 人にアドバイスをする、励ましの声を掛ける時に、その人の人間性の深さを知る事が出来る。