堺北民主商工会

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格差景気?

2006年10月20日 10時40分48秒 | 経営対策部
 1918年(大正7年)、「米騒動」と言う事件が起こった。米の価格が異常な値上がりをした事に対して富山県の「お母(おかか)=港で米の荷役作業をする女性」が米問屋に抗議をしたのが発端で全国的に一揆が広がった。しかし、この「米騒動」はそれ以前の一揆とは全く、その内容が違っていた。と言うのも以前の一揆の原因は「物が無くてのもの」だったが「米騒動」は米が無かった訳では無く、成金(=第1次世界大戦で私腹を肥やした成り上がり者)が持て余す「お金」を米相場に注ぎ込み、更に貪欲に儲けをあさって、米の価格を吊り上げた結果の一揆であった。そして、その一揆は瞬く間に全国的に飛び火し、時の寺内正毅内閣を崩壊に追い込む事になる。この政変で忘れてはならない重要な点があった。それは富山県の新聞(井上紅花が執筆)が「米騒動」を単なる「お母の抗議行動」と報道するのでは無く、時の「社会経済システムの欠陥」が招いた事件と報道したためだった。正に、公正で政治的中立を貫いたマスコミの影響力(支援)によるものだった。
 さて、先日、今の「景気(?)」は依然として続いており、戦後最長の「いざなぎ景気」と並んだと報道した。しかし、多くの国民の景気に対する実感は「そんなバカな~!」である。現に政府発表のあらゆる指標からも大企業の増益と一部の資産家の増収が今の景気を持続させていると言う事がすぐわかる。大多数の国民は依然として収入は低迷しており、生活は苦しい状態が続いている。NHKテレビが今週、「シリーズ〝実感なき〟景気回復」を放映しているが先日(10/19(木))、中小企業の実態を映し出していた。ある印刷会社で働く恐らく、40歳代の課長さん。毎日3~4時間の印刷現場での残業と日祭日もくまなく出勤して年収400万円。年収400万円と言っても社会保険料や源泉所得税などが給料から天引きされて実質、受け取るのは300万円である。この給料で家族の生活を支えていかなけばならない。(しかし、街に溢れている「ワーキングプア」や「フリーター」と称される人々からすれば「それでも働けるだけでも上等や!」と言われるかも知れないが)こんな実態である今の景気は格差が益々、広がる状況での景気(?)局面と言える。
 名付けて「格差景気」とも言える。
 米騒動の時の「米」のように、今は「物」が街中に溢れているが「庶民の暮らし」は一向に良くならない。「政治のあり方・方向」が間違っている。このような歪な「景気」をマスコミは正確に、その本質を報道する責任がある。
 88年前に大きな役割を果たしたマスコミは「現在のマスコミ」の状況を嘆いているだろう。マスコミは「真実」を報道する使命を今こそ、果たす事が求められている。