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鉛蓄電池の劣化診断

2017-12-03 07:37:40 | 電池、電気自動車&燃料電池自動車

鉛蓄電池は、正極に二酸化鉛PbO2、負極に鉛Pb、電解液として希硫酸H2SO4を用いた2次電池である。起電反応はPbSO4+2H2O+PbSO4<-->PbO2+2H2SO4+Pb。種類としては大きく液式とVRLAに分類される。そのことについては以前、本ブログでも書いた。
https://blog.goo.ne.jp/saizo2009/e/6d28f921cd118bf399727147611b08fb

◆VRLA
通称、密閉型/シール/ドライであり、複雑系に言うと制御弁式(陰極吸収式&ペースト式)である。形式でHSE, MSE, 改良形MSEなどある。補水や比重測定の必要がなくメンテナンスが容易である。
◆液式
液式の中にもいろいろ分類がある。極板に鉛を格子ペースト状(海綿状)にしたペースト式の形式N, HSや鉛の心金と多孔性チューブの間に充てんしたクラッド式の形式CSなどがある。

鉛蓄電池の故障原因分類の比率は、サルフェーションによる劣化が90%。陽極の故障が5%です。陰極の故障が3%で、電極間のショートが2%と言われる。サルフェーションとは何か?鉛蓄電池の宿命でもあり、一種の病気でもある。鉛蓄電池を使っていくにつれ生じる被伝導性結晶皮膜である。通常、鉛蓄電池が放電するときは化学反応によって硫酸鉛が発生するが、発生した硫酸鉛は充電を行えば電解液中に溶け込むようになっている。これが通常の鉛蓄電池のシステム。しかし放電を繰り返し行ったり、長時間放電状態のままでいると電解中に溶け込むはずの硫酸鉛が硬くなってしまい、結晶化する。結晶化された硫酸鉛は電解液の中にある負極板の表面にはりついてしまう。そして電極面積が小さくなってしまう。これがサルフェーションである。

鉛蓄電池の劣化診断の方法は、基本的に電圧測定と内部抵抗測定である。専用のポータブル測定器もいろいろ市場にある。
http://docs-asia.electrocomponents.com/webdocs/095e/0900766b8095ee2b.pdf
通常、内部抵抗は蓄電池が劣化するほど大きな値となり、その分負荷にかかる電圧は低下する。単に年数で新品交換するのではなく、定期点検でマメに測定し必要なタイミングで鉛蓄電池を新品交換することが求められる。鉛蓄電池の内部抵抗を測定する場合の注意事項が以下にある。
http://119.city.fukuoka.lg.jp/app/files/Information_151_pdf_file.pdf

なお劣化を防ぐ方法として、サルフェーションの除去のためにパルス電流による電気的振動を与えて電解液に溶け込ませる、そして充電を繰り返すことにより鉛蓄電池を再生させる方法があるようだ。
http://www.battery-service.jp/blog/?p=90


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