ベアリングのWhite Etching Cracksはなぜ起こるのか?そしてそれをどう防げば良いのか?いろいろ研究開発されているが、決定打がない。
・転がり軸受の損傷形態を把握する設計法(デンソー)
上記の論文においては、従来のWhite Etching Cracksに関する研究とはまた違った意見が掲載されている。ベアリングの転送面に酸化被膜をつけることは必ずしも有効ではないと述べており、そもそもグリースの分解によって水素が発生し、その水素がベアリング鋼中に侵入することによってWhite Etching Cracks(ここでは「白層剥離」と呼んでいる)が発生することにも疑問を呈している。それはあくまで「水素説」と言い切っているのである。他に「応力説」も世の中に存在すると言っている。では一体何なのか?本論文ではWhite Etching Cracksは、高速歪みでの塑性不安定現象と言っている。そして断熱せん断変形帯とも呼んでいる。ボールと内輪の正面衝突によりボール内部の歪みが塑性領域になりくぼみができた、そのくぼみのうち塑性変形が多きものに白層が発生し剥離したとのことである。ベアリングの内輪にくぼみが発生し、外輪には発生しない。この内輪にくぼみが1回の衝突で起きることからいわゆるブリネリングとも言っている。これらは回転変動率数%の回転リップルが要因なのか?