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企業に伝播する早期退職勧奨と底流に流れる鬱の匂い

2021-05-22 12:21:30 | 日記

職場が原因のうつを“職場うつ”。近年こんな名称ができている。職場に原因があるうつ病が増えているのは誰もが感じている。休憩室でずっと下を向いている人、乱暴に扉を開閉する人、ついこの間までテキパキと仕事をこなしていた人が豹変する。底流に静かに流れている鬱の匂いを吸い込んだとたんに。
底流に流れている鬱の匂いを嗅ぐと胸が締め付けられ、動悸が激しく鳴り出す。冷や汗がダラダラと流れ出す。
緊張と焦燥が混ざり合い、限りなく無臭な匂いである。

社会経済生産性本部が全国の上場企業を対象に「メンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査を実施したところ、2006年には有効回答数 218社中6割を超える企業が「過去3年間で、心の病は増加傾向にある」と答えている。そして、7割強の企業で「心の病で1カ月以上休んでいる社員が社内にいる」というデータも出ている。
成果主義と呼ばれるシステムによる、“協調”よりも“競争”を重視する企業の変化が職場うつの背景にあるのは明らかである。との分析がある。
高度経済成長の時代は心が弱い奴らだと豪放磊落だった部長連中も、今は病気と認める。ひょっとして自分も?最近、憂鬱だ。と感じているかもしれない。
そして大流行の早期退職である。
全国の30歳から65歳までの正社員・公務員・役員の男女4000名に予備調査をし、そのなかから、ここ1年から2年で早期退職を持ちかけられた経験のある方300名のうち10名のうち1名が退職勧奨されている。

株式会社Agooraが発表した調査結果

正社員の10人に1人が早期退職を持ちかけられているという事実

この調査は、全国の30歳から65歳までの正社員・公務員・役員の男女4000名に予備調査をし、そのなかから、ここ1年から2年で早期退職を持ちかけられた経験のある方300名を対象に本調査を行ったもの。 まず、早期退職を持ちかけられた人の割合を見てみましょう。 【ここ1年から2年で早期退職を持ちかけられたことはありますか?】 ・はい  10.55% ・いいえ 89.45% なんと、正社員・公務員・役員のうち、10人に1人は早期退職を持ちかけられた経験があるという事実が明らかになっている。

日本を支えている中間層が下層に移動させられている現実を何度も述べてきたが、さらに加速しているようだ。
正社員や公務員であれば、定年まで安泰だった。それが今まで緩やかだった空気が重く鈍色に染まりだした。そして鬱の匂いを撒き散らしている。

 具体的に会社から早期退職についてどのような説明があったか

「コロナで事業が悪化し、雇用を維持できないので退職金増額と引き換えに退職して欲しいといわれた。(男性/41歳)」「コロナの影響で事業を存続させることが難しくなり、人事から突然ズームミーティングで人員削減を行わざるを得なくなったと勧告された。拒否も可能だが、その場合は他部署に異動することが前提であるといわれた。(女性/41歳)」といった具体的なコメントがある。 

以前から早期退職勧奨に安易にのってはいけないと小欄では警告している。
「早期退職を持ちかけられた理由に新型コロナウイルスは関係していますか?」という質問については、「はい」と答えた人が65.33%。早期退職が増えているという状況には、やはりコロナの影響が強いということがわかる。 
実際に早期退職を受け入れた方はどれくらいいるのか。 【早期退職を持ちかけられた際、あなたは受け入れましたか?】 ・はい  42.67% ・いいえ 57.33% 早期退職を受け入れた人は、40%強という結果に。
割り増しで退職金を受け取れるというメリットや、同条件で転職先をサポートしてもらえるということもあるが、やはりその後の人生を考えると尻込みしてしまう人も少なくないのが現実。 受け入れた理由としては、「今後の生活資金が確保できたため退職を受け入れた。(男性/59歳)」といった前向きなものもあれば、「早期退職を提案されてからいじめがひどくなってきたので受け入れました。(男性/50歳)」といった目を覆いたくなるようなものあり、さらには「このまま無理に断って肩身が狭い想いをしながら働くよりかは新しい環境でしっかりと働いた方が良いと感じたから。(男性/37歳)」といった若い世代ならではの考えなどもある。 いっぽうで早期退職を拒否した理由は、「年齢的にも再就職が厳しく、転職すればかなりの賃金低下も受け入れざるを得なかったため(男性/44歳)」「雇用主が退職金の上乗せに応じなかったため、早期退職が成立しなかった(男性/51歳)」などがあった。 コロナ禍のいま、再就職が厳しい業種も多い状況。十分な退職金を得られなかったり、今後の転職活動に不安があったりする場合は、安易に早期退職を受け入れないほうがいいに決まっている。

早期退職後は正社員以外で働く? それとも無職?

さて、早期退職をした人はその後どのような働き方を選んだのか。 【早期退職後、現在の職業を教えてください】 1位:正社員 69.53% 2位:無職 13.28% 3位:派遣・契約社員 11.72% TOP3は上記の結果に。早期退職の際、別の会社に正社員として働けるようサポートしてもらえることもあるものの、それがかなわず派遣・契約社員として働くようになったり、無職になったりする人がいる。つまり約12%の正社員が下層に追い出されているのである。

早期退職した人の半数が給料減の状況に

最後に、早期退職後、新たに働き始めた際の給料はどのようになっているかを見てみましょう。回答には無職になった人も含まれます。 【現在の給料は早期退職前の職場と比較し、どれくらい増減していますか?】 1位:変化なし 32.43% 2位:1円~5万円減った 21.62% 3位:10万1円以上減った 15.32% 4位: 5万1円~10万円減った 12.61% 上位はこのような結果に。残りの2割程度の人は、少なからず給料が増えているということになる。 早期退職を募集する会社では、給料なども同条件の転職先を用意すると説明することが多いにも関わらず、給料が減ってしまっている人が半数近くもいるという事実は、いまの時代の厳しさを物語っている。 

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが繰り返されるなか、休業や倒産、そしてリストラなどで苦しむ人たちを支援する政策、つまりセーフティネットの充実がうつ病の蔓延を緩和させるのである。 
しかしあまりにも貧弱なセーフティネット、勇ましく弱者を攻撃しているネット右翼も鬱の匂いを吸い込む恐れがある。そして、攻撃的に憂さを晴らしている者ほど鬱の水が淀んでいる深い井戸に静んでいく。
そんな連中にもセーフティネットの綱を垂らして上げるのがリベラリズムである。
[出典] ※株式会社Agoora「早期退職を迫られた300人対象に退職までの猶予や受けた説明などのアンケート調査を実施」(@Press ソーシャルワイヤー株式会社) 

 


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