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定期預金の相続は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されない

2017-07-08 08:41:38 | 日記
平成28年(受)第579号 預金返還等請求事件
平成29年4月6日 第一小法廷判決

朝日新聞の記事が分かり易いので、引用します。

 遺産相続をめぐり、故人の定期預金が、相続人の受け取り分を決める「遺産分割」の対象に含まれるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は6日、「含まれる」との初判断を示した。最高裁大法廷が昨年12月に示した「預貯金も遺産分割の対象になる」という判例を適用した。
 従来の判例では相続人が合意する前でも、預貯金については各相続人が自分の相続分を引き出せるとされてきた。大法廷は昨年に「できるだけ幅広い財産を対象とすることが望ましい」として判例を変更したが、普通預金などが審理の対象だったため、定期預金や、積み立てた掛け金を分割で受け取る定期積金については判断していなかった。
 6日に判決が言い渡されたのは、死亡した女性の相続人の1人が、京都中央信用金庫(京都市)の女性名義の定期預金などから、自身の法定相続分の引き出しを求めた訴訟。第一小法廷は、相続人の間で遺産の受け取り割合が決まる前には、引き出すことはできないとした。

裁判所の認定から見ていきます。
1 ある人が亡くなりました。
2 その人は、信用金庫に普通預金債権,定期預金債権及び定期積金債権(以下「本件預金等債権」という。)を有していた。
3 相続人たちは、その預金を分割して相続したいと申し出ましたが、信用金庫は拒否しました。
理由は
(1) 共同相続された普通預金債権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである(最高裁平成27年(許)第11号同28年12月19日大法廷決定・民集70巻8号登載予定)。
(2)上記の制限は,一定期間内には払戻しをしないという条件と共に定期預金の利率が高いことの前提となっており,単なる特約ではなく定期預金契約の要素というべきである。


たしかに金融機関の立場からすれば、かなりの金額を定期で入れてもらって、その資金を貸し付けに回した直後に、解約を申しだされたらたまったものではないのは分かります。
だから
共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

第一小法廷判決
裁判長裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之

まあしょうがない判断でしょう。相続に関する法律がどうなっているかは別として、相続人が確定しないのに多額の定期預金を解約出来るとするというのは、非常に危険ですよね。相続人あるいは相続人のふりをして独り占めの可能性が出てきます。
金融機関側から言っても、いくら途中解約が可能とはいえ、簡単に解約できてしまうとなれば経営に大きな影響を与えかねませんし。普通預金ももう少し厳しくしてもいいんじゃないかとすら思います。これは司法ではなく立法への希望ですが。


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