あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

春の北陸路3都市めぐり③ 富山市内を自転車で(富山)

2017-06-14 12:45:32 | 国内旅行
 2017年5月19日(金)

 今朝は雲ひとつない快晴である。宿泊した新高岡駅前のビジネスホテルを8時10分に
出て、新高岡駅8時37分発北陸新幹線上り はくたか556号に乗る。


 次の富山駅には、わずか9分後の8時46分に着いた。




 今日も貸し自転車を利用して市内を回ることにして、観光案内所で申し込み方法を聞く。
最寄りの申込所、南口の富山地鉄ホテル2階フロントで申し込み、利用方法などの説明を
受けて鍵を借りる。

 駅前の駐輪場に行ったら、自転車はママチャリ形とはいえ特注のガッシリした造りで重
そう。体力の落ちた連れ合いは、スタンドを建てるのも大変という代物だ。


 とりあえず駅前から、セントラム(市内電車環状線)の走る通りを南下して、県庁前公
園の駐輪場へ。ところがここで、駐輪用のラックに取り付けるのにひと苦労する。駐輪は、
当然スタンドを立てるものとして立てたが、うまくラックに入らない。力を掛けてなんと
か納めることができたが、何とも扱いにくい自転車だ。


 今日最初の目的地は、県庁前公園から西に200mほどの「高志(こし)の国文学館」
で開催中の、『大伴家持生誕1300年記念企画展「官人(つかさびと) 大伴家持」』
で、10時頃入館した(500円)。
          

 ちなみに「高志」とは、古く「越(こし)」と読んだ北陸地方の総称で、古事記に記さ
れているのが「高志」で、後に越前、越中、越後国に分割され、現在の福井、石川、富山、
新潟県にあたり、大伴家持が越中国主だった時期は、能登は越中国に併合されていたのだ
という。

 富山県は、万葉歌人・大伴家持(おおとものやかもち)が223首もの歌を詠(よ)ん
だ越中万葉ゆかりの地。堀田前衛や源氏鶏太、角川源義などの作家を輩出し、宮本輝「蛍
川」、新田次郎「剱岳 点の記」など富山を舞台にした作品も多く、滝田洋二郎や藤子・
F・不二雄など、映画や漫画ゆかりの人も生んでいる。

 高志の国文学館は、これら富山ゆかりの作家や作品の魅力を発信し、「ふるさと文学」
に親しむなどの目的で開館したという。

 大伴家持は、日本最古歌集「万葉集」の編さんに深く関わったとされ、奈良に都のあっ
た時代に貴族の嫡流として718年に生まれた。

 大伴氏は天皇の護衛にあたり活躍した祖先伝承をもち、家持は奈良時代を代表する歌人
であるとともに政治に携わり、波乱の歴史を生きたひとりの官人だったという。

 大伴家持は746年に越中守(国司)に任命され、751年までの5年間務めている。

 この企画展では、家持が赴任した各地の博物館などが所蔵する貴重な資料を一堂に展覧
し、困難な時代を懸命に生きた良心の叫びともいえる数々の歌とともに、官人家持の実像
を紹介するという。

 館内は撮影禁止なので、リーフレット記載の写真で、その一端を紹介する。


    

          

    

 企画展を1時間半ほどかけてゆっくり観覧し、常設展示室での富山ゆかりの文学の紹介
や、ゆかりの作家の直筆原稿、「知の蓄積」と呼ぶ関連書籍が埋め尽くされた壁面などを
観覧した。

 ライブラリーコーナーに、無料配布の小冊子2つがあったのでもらう。
     

           


 こちらはライブラリーコーナーと外の眺め。



 その後館外に出て「万葉の庭」と呼ぶ庭園を一巡し、ヤマボウシやエゴノキなどの咲く
気持ちよい新緑下の散策を楽しんだ。
    

        

 12時半頃、高志の国文学館を後にした。

 県庁前公園に戻る途中、右手にガラス張りの奇怪なビルが見えた。回ってみたら、県の
福祉関連の団体が入る建物だった。


 県庁前交差点を横断して、富山県庁と県庁前公園の間を進む。県庁前公園の南西端近く
に、標高7.8mの三角点があった。
    


 噴水の上がる公園内を通過してふり返ると、北日本新聞社の大きなビルが望まれる。


 公園内には「お野立所」の標石もあり、「大正13年(1924)秋、摂政宮だった昭
和天皇が、ここで県下の児童らの体操や運動競技をご覧になった」ことなどが記されてい
た。


 13時が近いので食堂はないかと探しながら県庁正門前を通過して、公園に接するNH
K富山放送局に入る。軽食の場所はあったが物足りないので出た。



 県庁↑の東側には富山市役所庁舎↓があり、展望塔に上がるのも目的のひとつ。1階外
に小さな食堂があったがここもメニューはいまひとつ。先に展望塔に行くことにして専用
エレベーターで上がった。


 地上から約70m、ガラス張りの展望塔からは快晴の青空の下に富山市街が360度の
大展望である。

          NHK富山放送会館

              横に細長いのが富山駅



          手前は県民会館、その向こうは県庁 

 そして東から東南には、残雪の立山連峰の長大な眺めが広がる。

   パノラマ左


                パノラマ中


                             パノラマ右

                
      剱岳      剣御前 別山  大汝山 雄山  浄土山 (パノラマ中左)
      2999m      2777m 2880m 3015m 3003m 2831m    



 眼下には県庁前公園や、午後訪ねる予定の富山城址公園↑の緑の一角も見下ろせる。し
ばらくの間、雄大な展望を楽しんだ。


 13時半頃市役所を出て南に向かい、松川の橋を渡る。


 食事処を探しながら進むと、富山城址公園の東側の小さいビルに、名古屋コーチンの店
という「酒彩 十六夜(いざよい)」という店があった。これ幸いと入り、地魚の刺身定食
(800円)を注文して遅い昼食を済ませた。
    

 道路の向こう、城址公園に入ろうとしたが両側の信号まで少し離れている。車が途切れ
るタイミングで車道を横断して、石垣の間から公園に入った。


 すぐ先右側は富山市佐藤記念美術館。もう一つ城址公園内にある、富山市郷土博物館と
の共通券(310円)を求めて入館する。

 佐藤記念美術館は、昭和32年(1957)に県内砺波市(となみし)出身の実業家・
佐藤助九郎氏を中心に、同社創業100周年記念に建設したもの。

 平成14年(2002)に富山市に寄贈され、富山市佐藤記念美術館と改名したという。




 県内から移設された柳汀庵(りゅうていあん)と呼ぶ茶室や、助庵と呼ぶ和室を観覧後、
二つの展示室での企画展「富山ゆかりの絵画・工芸品」で、日本画、茶器、貝細工、蒔絵
などの作品を観覧した。


 ガラス張りのロビーからは、日本庭園や郷土博物館になっている富山城天守閣どが望ま
れる。ロビーにも幾つかの展示物があった。




       

 美術館と博物館を挟む一帯は富山城の本丸跡。日本庭園や本丸亭↓と呼ぶ茶室などを眺
めながら西側の西の丸方面に向かう。


 西の丸の北側には、富山藩第2代藩主、前田正甫(まさとし)像が立っていた。前田正
甫は文武の振興を図り、新田開発や産業育成など藩政の充実に注力し、富山売薬の基礎を
築いた人物としても有名とか。
     
 立像は昭和29年(1954)に高岡鋳芸社により造られ、台石を合わせた高さは約10
mになるという。

          近くには、やはり大きな「殉職警防団員乃碑」もある。、
          


 本丸の南側に回り、石垣の横から富山市郷土博物館に行く。建物は昭和29年に開催さ
れた富山産業大博覧会の記念に、恒久建造物として建設されたとのこと。

 旧本丸鉄門(くろがねもん)の石垣上に建てられた鉄筋コンクリート造りで、望楼を乗
せた三重四階の天守、二重二階の小天守など城郭の意匠でまとめられていて、戦後の天守
閣建設のさきがけとなったものらしい。

 郷土博物館は中心市街地のランドマークとして市民に親しまれ、近年には耐震改修工事
も行われ、平成16年(2004)に国の登録有形文化勢に登録されている。

 共通券で入館し、富山城の築城から明治以降の城郭の変遷まで、400年以上にわたる
歴史資料などを一巡して観覧した。

       織田信長の黒印状

       
        前田利長の兜(かぶと)

 企画展示室では、現在の広告チラシにあたる、明治時代の「引札(ひきふだ)」の数々
が展示されていた。



 4階の天守展望台に上がると周辺が展望できるというので階段を上がったが、周囲を金
網で覆われていて写真撮影には向かない。市役所の展望塔のような高さも無いので、立山
連峰もビルの間にわずかしか望めなかった。



 15時半過ぎに富山市郷土博物館を出た。北側の佐藤記念美術館↑、周辺の緑や池など
を見ながら進み、もう一度郷土博物館を振り返り、東側の千歳御門から公園を出た。




 近くにあった貸し自転車のステーション(駐輪場)から別の自転車を借りて、セントラ
ムの走る通りを駅前まで乗る。


 駅前のステーションで、ラックに戻すのにまたひと苦労する。いくら力を入れてもうま
くセットできない。ふと横の自転車を見たらなんと、スタンドは立てないでセットしてあ
った。

 自分の自転車同様、自転車はスタンドを立てて駐車するものとばかり思っていたのだが、
ここは違うのだ。受付時に注意するとともに説明書にも記して欲しいものだ。

 駅構内に戻り、預けて置いた荷物をコインロッカーから出す。構内の売店で少しの土産
物と夕食の弁当などを求めて改札を入る。

 富山駅17時6分発北陸新幹線上り東京行き、かがやき512号の指定席に乗り帰途に
ついた。


 駅を出て間もなく、右手に立山連峰が望まれる。しばらくその展望を楽しみ、間もなく
長いトンネルに入る。





 トンネルの合間には、白馬連峰北部や妙高山周辺らしい山並みも望まれた。


 次の停車駅長野から大宮まではノンストップで1時間足らず、大宮駅に18時54分に
着き、自宅には20時30分過ぎに戻った。

(天気 快晴、地図 富山市観光ガイドマップ)


 なお、この日訪れた「高志の国文学館」には、10日後の5月29日(月)、前日の富
山県魚津市での植樹祭のために来県された、天皇・皇后両陛下も来館し観覧されている。




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