さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

軽井沢 歴史ある山荘建築を拝見♪

2018年10月07日 | 見学

先週末の事ですが、日本列島を縦断していった大型台風24号

長野県には9/30日夜~10/1未明に最接近

台風を心配しながら就寝して、目が覚めた時には、爽やかな朝

私の朝の第一声は「台風は通過したの?!」でした

ここ海野宿では、いつ台風が通過したのか気がつかない程度の風で済んだみたいです。

(台風の目が通過したのかもしれません)

 

そんな台風24号が近付いていた最中の9/30(日)に

実はある方から誘われて、軽井沢にある古い家を見に行く事になりました。

 

暴風雨に見舞われるかもと思ったのですが、幸いにも曇り

2018.9.30 旧軽井沢 愛宕山に建つ山荘

  

誘って下さったある方、というのは、かれこれ9年前の私共の現場で作業して下さった生コン車の配送運転手さんだった方なんですけど、

私共の古民家再生に非常に強い関心を持って下さり、

イチ作業員さんに過ぎなかった方ではあったのですが、その眼差しに、

現場監督のうちの主人も一目置くぐらい記憶に残る方でした。

 

ですが、現場でご一緒したのはその9年前の現場だけ。

以後、お仕事でご一緒する機会も、お会いする事も無かったのですが、

なんと!

今年の6月頃に、その方から栖風采に「軽井沢の古民家があるのですが・・・」とお電話がありました

  

その方とは、現場では下請け業者さんの作業員の方でしたから、私共と名刺交換等はしておりませんし、

私共も(多分その方も)、互いにきちんと名前を把握していないような関係

そうでありながらも、当時の現場記憶を頼りにネットで検索して栖風采を見つけて下さりお電話してくれたそうなんです!

(内心、ちょっと感動しております

 

そして、その方のお名前はSさんと仰るのですが

Sさんのご厚意で、実は7月にも軽井沢の古い家を拝見する機会がありまして

今回は2度目のお誘いでした。

ちょうど台風が近づいていましたけれども、今回もきっといいお宅に違いないと思い、行って参りました!

   

   

本当に素晴らしい建物に巡り合えてしまったのです!!!

  

南面

  

ちょ、ちょ、ちょっと~!

これは素敵な山荘じゃないですか

腰折れ屋根で、正面1階ベランダの上部には2階が張り出した格好で乗っています。

(ピロティと言っていいのかな)

   

この建物についての事情は良く分からないまま、 

Sさんのご厚意で、改修する前の外回りを見せて頂けるという事で伺った訳ですが

これは庶民の伝統的な日本家屋としての古民家というよりも、

旧軽井沢周辺の外国人によって作られた別荘建築バンガロー式の山荘建築じゃないですか

しかも、建設年代はどうも明治後半から大正期頃(~1926)だそう

軽井沢別荘史から見ると初期の部類になりますよね~!

(軽井沢の避暑地別荘の始まりは、明治21年(1888年)、宣教師であったアレキサンダー・クロフト・ショーが大塚山に別荘を作ったのを始まりとされていて、今年が軽井沢の別荘地130周年。)

軽井沢において歴史的な建物という位置付けにも成り得る。

きゃぁ~ そんな建物を拝見出来るなんて嬉しい

(Sさん、こんな機会を作って下さって有難うございます

  

ちょうど私達が現地に到着した同じタイミングで

偶然にも関係者の方々も来られて、

恐縮しながら建物の外回りをぐるっと見学させて頂きました。

 

北面

 

簓子?下見板張り(押縁下見板かも)と、南京下見板張りが混在していますが、

どうも簓子下見板張り(押縁下見板かも)部分が古そうなので

南京下見板張り部分は後で張り替えられたものかもしれません。

  

設計・デザインは洋風であっても、簓子下見板張りが採用されているという時点で日本的ですし

雨戸面格子が打ちつけられたりしている辺りの「窓の考え方」が日本らしいデザインです。

洋風の設計図面を見ながら、当時の日本の大工さんが間取りや外観を形作ったと思われますが、

ディテールは、日本の気候や風土に根差して出来上がっていた伝統的なデザインが盛り込まれています

そんな和洋折衷だから日本にも馴染む洋風建築が出来あがったんだと思いますね。

(そこが魅力的

 

簓子下見板張りについては6月にブログに書きましたので参考にどうぞ

  

あと、破風のところには滑車が付いてますよ?!

 

 

側面

カエデがこれまた建物を美しく引き立て役になってます

 

さて、

建物周囲を一通り見させて頂いたので、そろそろSさんと失礼しようとした時に、この家の方から、中もご覧になりませんか?とお声を掛けて頂きまして

初対面でありながらずうずうしくも、建物に上がらせてもらいました

 

ベランダ部分(部分的に補強されてました)

ベランダの手すりを背もたれにしたベンチもホントいいですよね~☆

   

バンガロー式の山荘なので、玄関は無く

このベランダから直接居間へ入らせて頂きました。

(恐らく、外国人がこの建物を使われてた時には土足で上がっていただろうとの事です)

  

 

室内に入って、まず目に入ってきたのは

杉皮の内装と暖炉

わ~~~!!!

ハッチ付近の造作、意匠が何とも面白い。

  

これだけの自然素材を一気に取り合わせると、素材そのものは素朴ではありますが、

煩くなったり、或いはごつくなったりして、重く暗く野暮ったい感じに陥り易いものですが

構造材の丸太のボリュームに対比して杉皮や小枝の軽さがいい!

 

壁・建具・引き出し、それぞれ杉皮の張り方に変化をつけ、杉皮の押桟のバランスも適度に外して

なかなか繊細な印象。

素材の取り合わせ、バランス、どことなく日本の草庵茶室を感じさせるものがありました。

文化人には日本、西洋問わず、共通するものがあるのかもしれませんね。

 

この暖炉周りも工芸的

階段の手すりは虫食いの細い丸太をそのまま手すりに!

虫食い跡の凸凹が、意匠面だけでなく、程良いグリップの滑り止めになってる気がする!←こじつけ?(笑)

ベンチも暖炉の前で寒い時はいいですよね~

そのベンチの座面下は収納になっていて、これは軽井沢別荘の特徴でもあるそうです。

  

そして煙突が土管なんですけども、そこに点検用?暖気取り出し用?の小扉がある?!

周りが杉皮や板なので、つい防火上、大丈夫なんだろうかと心配になりましたけど

分厚い土管ですから土鍋と思えば大丈夫か。←例えが主婦感覚でスミマセン 

熱伝導率が低く蓄熱性の高い分厚い土管となれば、煙突周辺部材を高温にするに至らず、よって火災は起こらないってところでしょうか。

仮に、煙突が100℃以上の温度になっても、煙突周りの気密性が低すぎて(自然換気良好)、周辺木材が蓄熱して低温発火することも無いのかな?とも思われます。

それよりも、この暖炉は冬用の暖炉ではなくて、夏用だという事ですから、使用頻度は少なかったと思いますし、ガンガン焚いたとも思えませんしね

軽井沢の標高は1000m前後くらいあり、夏でも最低気温ともなれば15℃前後くらいまで下がることもあります。

15℃前後って結構、寒いです。ちょっと暖房が欲しくなる温度です。

そのための暖炉だと言えば、納得ですね!

   

避暑目的の別荘は、冬は締めきって、夏の短期間だけ利用していたようです。

冬は、開口部に外から板を釘で打ち付けて締めていたと聞きました。

 

実は今年の7月にも、Sさんの計らいで軽井沢の昭和30年代頃の古い家を見させて頂いたのですが、

(そこも素敵なおうちでした!)

その建物の内部は真っ白いカビだらけになっていて驚いたのですが、

今回拝見させてもらったこの家は、

この木立の中に建つ軽井沢の古い別荘でありながら、カビ臭さなど殆ど感じ無いよい状態の建物でした

 

機械換気扇も無い時代の建築、山荘建築がこんなにも良い状態で残っているなんて

これまでの所有者さんがきちんと管理されてきたお陰だと思いますが、

杉皮等の内装による調湿効果、そして気密性の無さによってある程度の乾燥状態を保てた効果が大きいように思えます。

 

高温多湿な時期に別荘利用される事で通風され、

冬の低温乾燥時期にクローズ。

軽井沢の避暑別荘というのは、そういう使われ方をされてきたという事です。

 

ですから

冬の暖房によって生じる温度差による結露もなければ、

高気密住宅で起こりがちな換気不足による結露もない。

また、合板・ビニルクロス等ばかりで作られる住宅でみられる調湿不足のカビもない。

  

夏を旨とする云々ではなく、本当の「夏の家だったという事が分かります。

 

  

通風の工夫。

2階 ドアの上部に欄間のように設けられた無双窓!

ドアを閉めたまま、換気通風が可能。

日本的な通風デザインです。大工さんが気を利かせて付けたんでしょうね。

 

2階がこれまた素敵すぎる空間でした~!

 

窓からの眺めが素敵すぎます 椅子もいい~!

  

こういう木々の中の別荘が軽井沢らしい!って今まで思っていたのですが

衝撃の事実を今回知りました!

なんと!

この家の建っている愛宕山は、当初、禿山?!だったそうなんです!

え?え?えーーー!

木が全然無かった

 

それが今はこんなに木々に囲まれてる!

 

明治43年には軽井沢で大洪水が発生し、それにより高台の土地が求められ、愛宕山南斜面へ別荘を移築する動きに繋がったたそうです。

ただ、その時の愛宕山には木が無かった!(古い写真を見させて頂きました)

 

このあまりの衝撃的な事実を知り

軽井沢の別荘地の歴史を知りたくなりまして、帰りに軽井沢の本屋さんに寄り

『軽井沢別荘地130周年記念特集 軽井沢ヴィネット 2018年下巻』と『祖父 野沢源次郎の軽井沢別荘地開拓史』

を買ってきてしまいました

  

軽井沢は実は元々荒涼とした不毛地帯で、明治の大洪水の後、緑豊かな高原風別荘地造成がなされていたとは驚きました。

窓から見えた木々は植樹されたものだったんですね。

植樹されて100年余りも経てば、禿山?草原?荒野がこれだけの林というか森林になるなんて、植物って凄いですね。

  

ちなみに

『軽井沢別荘地130周年記念特集 軽井沢ヴィネット 2018年下巻』には

今回、拝見させてもらった家が載ってました

 

いやもう本当にまさかSさんのお誘いが、こんな素晴らしい家を拝見させて頂ける事になるなんて思いもよりませんでしたし、

たまたま偶然に、お家の方にお会い出来、

建物の中も見学出来、

更に、

実はこの日、この家に見学に訪れてたのは、私達だけではなく、

軽井沢ナショナルトラストの名誉会長さんや

軽井沢ヴィネットの発行者 軽井沢新聞社の方、

そして軽井沢の歴史研究されている方もいらっしゃって、

皆様から沢山の貴重なお話を伺う事が出来、感謝感激でございました

  

そして何よりも、お家の方には家の中を見学させて頂いただけでなく、個人的な資料までも頂きました事、

本当に心よりお礼を申し上げます!

どうも有難うございました!

これは私にとっては貴重な学びです。

  

あ~とても幸せな気分でございます

  

それもこれも、9年前に現場で仕事をご一緒したSさんのお陰!

本当に有難うございました!

見学してから1週間も経ちますが、まだ興奮気味です(笑)

 

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2 コメント

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Unknown (いいひ)
2018-10-11 21:27:52
Kaoriさん、ご無沙汰しております。

今回の記事!!私も大興奮して読ませていただきました!!

軽井沢は個人的にも思い出深い地で、追分ですが、私と同い年の小屋を所有したことがあり、かつ、ナショナルトラストさんの見学会には時折参加して、彼の地の別荘建築に触れては、その度につくづくと大好きだなぁと感じていました。ご紹介して下さった本も、持っています!(笑)

日本式な洋館が大好きですが、軽井沢別荘建築は特に大好きです。堪りません。軽井沢別荘建築の写真集が出ないかなぁとひそかに願っています。。

そして、作業員さんとのご縁にも、心温まりました。おふたりが、しっかりとした良い仕事をされていらっしゃる賜物ですよね!

なかなか自らの設計では、描けない世界ですが、本当に素敵な素晴らしい建築を見せていただき、心から感謝いたします。

大興奮して、思わずコメントしてしまいましたが、ご活躍を蔭ながら、いつも応援しております!
Unknown (kaori)
2018-10-15 21:19:35
いいひさん!
 
こちらこそご無沙汰しております。
コメント寄せて下さいまして有難うございます♪
 
確か以前にも三笠ホテルについて投稿した時にコメント頂いた記憶が^^
本当に軽井沢がお好きなのですね☆ 
かくいう私も、軽井沢へ赴くとテンション上がりっぱなしですが(笑)
 
実は今年の7月にも軽井沢で解体される別荘をSさんのお誘いで見させてもらいました。そこは和洋折衷の、これまた何とも言えない風情のある昭和別荘建築でしたので、また機会を見て記事にしたいと思います♪ お楽しみに~^^

 

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