時雨スタジオより

9年の休止期間を経て、
なんとなく再開してみました。

ある女性への支援記録──(1)「110番と緊急入院」

2020-06-16 22:56:59 | 医療・介護
 ある男性がサポートをしている要介護状態の女性がいる。女性は数年前に離婚し独り身だ。進行性の神経難病(確定診断に至らず)のほか、いくつかの疾患を合わせ持っている。女性には尿障害もあり、常時おむつを使用している。また、神経難病の症状の一つに「無動」があり、その症状が出ると転倒・転落することが多く、一人でほぼ起き上がれない。救援に行くのは、訪問看護、警察および男性であった。いつしか、「自分を頼られることが多くなった」と男性は感じていた。そこで、一人ボランティアでは継続的に援助を行うことができない旨を伝えると、女性は「自殺願望」を脅しに使うようになった。
 男性は、ボランティアで対処する限界を超えたと感じ、女性を支援している地域包括支援センターと駐在所を訪ね、今までの経緯を話した。その結果、男性は徐々に身を引き、主たる支援は公的な機関が受け持つことになった。その内容については、次回以降にお話することにする。
 具体的には、「起き上がれないので助けてほしい」という女性からの救援依頼が男性にあった場合は、110番通報に誘導するというものである。これは、地域包括支援センターや駐在所と合意の上での対応法である。そして、〇月7日〜16日には、以下のような対応が行われた。

〇月7日(日)
<女性よりメール>
・14時59分(文面ママ)
まっどにいきくたも
・15時11分(文面ママ)
へっどににいきまてこ手伝える事は出来ますか?

<男性よりメール返信>
・15時15分
少し文面が分かりづらいのですが、ベッドに移りたいのでしょうか?
今は行けません。
110番してください。
命のリスクがない場合は、110番の相手(オペレーター)に「救急車を呼ばないでください」と伝えてください。
もしかしたら、警察だけで来てくれるかもしれません。


・15時50分頃、男性は、顛末が気になり〇〇警察に電話、日曜日のためか電話がつながらない。

・16時頃、男性は駐在所に出向く。日曜日のためか、駐在さんは不在。駐在所にある電話で〇〇警察に連絡。
「〇〇さん(女性の名前)のことで」と言ったとたんに、警察署の人はすぐに理解。
「先ほど110番があり、対応しました」と返事をもらう。

〇月11日(木)
<女性よりメール>
・7時11分(文面ママ)
昨日24時間ナースに来て貰ったんですが車椅子をたたんではしっこに置いて帰ったんです。お尻で捩じ込んで座れましたが、リビング迄なかなか行けません。
〇〇さん(男性の名前)手伝って貰えませんか?


・7時30分頃、110番を呼ぶほどの緊急事態ではないと男性は判断し、女性宅訪問。
 到着したら、自力解決したようで、ダイニングで車いすに座っていた。

<女性より男性の携帯に電話>
・19時57分「転んだので助けてください」
 男性は「110番して」と対応

〇月12日(金)
<男性より女性にメール>
・8時51分
昨夜は110番で解決しましたか。
心配はしています。
ただ、現状のところ24時間対応の訪問看護の限度が来たら、110番を優先してください。
昨日の朝に行ったのは、倒れたわけではなく、110番を呼ぶ理由にはなりづらいかなと思ったからです。
これは、救出に行くのが大変だからという理由ではなく、
前にも言ったように、公的機関に援助の必要性を正しく知ってもらうためだとご理解ください。
僕が援助していたのでは、援助の本当の必要性が公的な機関に伝わらないのです。


<女性からメール返信>
・9時12分(文面ママ)
昨日は110番しました。〇〇さん(男性の名前)の言う事は良く判ります。24時間ナースは後1回(24時間対応の訪問看護のことで1か月に3回の利用制限がある)、後は110番します。

<女性からのメール受信>
・10時05分
車椅子はもう要りません(要介護から要支援になったので、女性は車椅子を自費で購入していた。これについては当ブログ「車いす」参照)。
要介護になるのを皆期待してます。私はなすがままです。こんな生活には絶望してます。


〇月16日(火)
<女性より男性の携帯に電話>
・9時42分
「転びました、助けてください」
 男性は「110番を呼んで」と対応
 返事はなく、電話が切れる。

<男性から地域包括支援センターにメール>
・9時58分
先ほど(16日9時42分頃)、Kさんから「転びました、助けてください」という電話がありました。
「110番を呼んで」と対応しました。
返事はなく、電話は切れました。
取り急ぎお知らせまで。


<男性が駐在所を訪問>
・11時30分
 男性は、女性の様子が気になり、駐在所を訪問。
 駐在所から、110番通報があり対処したとの返事を受け取る。

<女性からのメール受信>
・11時59分(文面ママ)
さっきはごめんなさい。
毎日110番するねが気の毒でしょうがありません。
こんなにからだになって生きてる必要ないです


<男性から地域包括支援センターにメール>
11時30分頃、本日の対応とこれまでの対応について、駐在所の〇〇さんに報告に行きました。
110番があり、〇〇さんが出動したということでした。
「本人が変わるしか救いはない、これ以降、すべての救援要請は断ってほしい」と〇〇さんから話がありました。
・12時15分
帰宅後、〇〇さん(女性の名前)から以下のメールを受け取りました。
・11時59分受信(文面ママ)
さっきはごめんなさい。
毎日110番するねが気の毒でしょうがありません。
こんなにからだになって生きてる必要ないです
これについては、当面、返信しないでおきます。


<地域包括支援センターから男性にメール>
・16時42分
今、救急搬送され〇〇病院に来ています。これから検査です。

 男性は、女性が自殺を図ったのかと思う。

<駐在所から男性に電話>
・16時52分
駐在さん「〇〇さんが病院に搬送されました」
男性「何があったのでしょうか」
駐在さん「また転んで、体が硬くなっていて、それに、眠剤を飲んだのか呂律が回らなくて」
 女性の場合、眠剤を飲んだあとで無動が起こると極めて体が硬くなることがある。
男性「110番があったんですね」
駐在さん「そう、110番です」
 女性が自発的に110番をしたので、自殺の線はやや薄れた。
駐在さん「地域包括支援センターの人にも来てもらって、救急車を呼びました。入院かどうかはわかりませんが……」
男性「ご迷惑をおかけします……と私が言うのも変ですが」
駐在さん「まあ、これがきっかけになって、〇〇さん(女性の名前)が変わってくれるといいんですがね」
 駐在さんは、支援者に対して高圧的・非協力的な態度が見られる女性に業を煮やし、できれば施設入所について、女性がその気になっていることを望んでいる。

 その後、地域包括支援センターと男性がメールをやりとりし、女性が脱水症で入院になったことが判明する。

つづく
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