時雨スタジオより

9年の休止期間を経て、
なんとなく再開してみました。

占領政策と戦った役者達

2020-06-27 16:49:46 | 『別府と占領軍』より
 ──新型コロナ禍で役者さんたちが苦境に立っている。敗戦後の占領時代には、今とは別の形で苦境の真っただ中にあったようだ。  敗戦の嵐は旅役者のいる芝居小屋までも烈しく吹き荒れた。楽屋に米兵が入り込み、台本の提示を求め、占領政策に合わなければ、即刻上演中止が命令された。  仇打ちや心中物等は一切アウト。反対に人情劇や新時代の教育劇なんかは歓迎された。 例えば三大仇討といわれる「一は富士(曽我兄弟) . . . 本文を読む
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ゴルゴンの館

2020-06-21 10:33:11 | 『別府と占領軍』より
 ──ゴルゴンとは、ギリシア神話の三人姉妹の怪物で、ステンノ・エウリュアレ・メドゥーサの総称だ。ただ、前二者以外には特別の神話がないため、特にメドゥーサを指すことが多い。頭髪は無数の蛇からなり、見る者を石に化す恐ろしい目をもっている。ペルセウスに退治された。僕の子ども時代、家にあった幻灯機でゴルゴンの物語を繰り返し観た思い出がある。今にして思えば、父が買ってくれたものであったのだろうか。さて、忠男 . . . 本文を読む
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道徳的理想と生活的現実

2020-06-20 15:10:11 | 『別府と占領軍』より
別府保健所の職員たち  ──これは、占領軍大尉の道徳的理想とパンパンたちのちょっと悲しい現実の物語。  昭和二十四年、桜の花も散り、けだるい午后の一刻、別府保健所の所員達は自分の机に戻って、さて午后の仕事を始めようと思っていた矢先、一人の米軍将校が所長室にやって、所長を前に早ロでペラペラとしやべり出した。一足遅れて入って来た細面の若い通訳が、渇いた声で米軍将校の言葉を皆に伝え始めたが、それを聞 . . . 本文を読む
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江戸の悪代官もどき──性病探索班

2020-06-20 12:56:32 | 『別府と占領軍』より
パンパン狩りをした「キャッチ・ジープ」の前で記念撮影に収まるMP、通訳、保健所の職員たち  ──街を歩く女性達を片っ端から捕獲したという信じられないような現実が敗戦すぐの別府にはあった。  昭和十二年に制定施行された保健所法が、昭和二十二年に全面的に改正され(法律第一〇一号)別府に始めて保健所が設置された。当時の保健所は田の湯八組の民家 (現在「旅情苑」と「別府飲食業協同組合」)を借りていたが . . . 本文を読む
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東京新聞掲載の書評および「品位」についての雑感

2020-06-14 23:20:42 | 『別府と占領軍』より
 下川正晴『占領と引揚げの肖像 BEPPU1945〜1956』(弦書房、2020.4)の書評(武田徹評)が6月13日の東京新聞朝刊に掲載された。同書評には、「著者はホテルマン佐賀忠男が一九八一年に自費出版していた『別府と占領軍』を発掘、再評価し、その業績を踏まえつつ……」「佐賀の著書の記述に往時を知る生存者への聞き取り調査と踏まえつつ……」などとある。佐賀忠男は僕の父である。確かに、下川氏は父の著 . . . 本文を読む
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