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伊東園、超格安の秘密

2018-03-18 10:47:38 | メモ帳

前回投稿した駿河湾フェリーからの映像は、土肥温泉に泊まった翌日に撮影したもの。泊まった宿は伊東園ホテル土肥である。地図を見ながら、もっとも景色がよさそうな宿として選んだのだが、現場に着いてみると予想以上に素晴らしいロケーションだった。

 

 

問題点は料金が安すぎること。温泉宿の全国的な標準宿泊料金は、一泊二食付きで13,000 ~17,000円だろう。それがなんと、伊東園土肥では食べ放題・飲み放題で8,800円(南房総の伊東園はで7,800円!)。安いのは有難いが、この料金ではなにかが足りないのではないかという懸念がある。だが、何が足りないのか調べるのも一興、ということで伊東園を選んだ次第である。

 ● チェックインの時に、朝晩の食事券とともに“マグロ料理”と書いてある札を渡される。そして、夕食時に食堂でこの札と引き換えに赤身のマグロの握り2カンと刺身数切れの皿を受け取る。一方、食べ放題の料理が並んでいる一角にある刺身コーナーにはマグロがないし、握り寿司のコーナーにもマグロはない。つまり、“マグロ料理”券は、他の魚より原価が高いマグロの使用量を抑えるために考案されたシステムなのである。

確かに、食べ放題だと高価と思われる料理を自分の皿に山盛りに取る非常識な人もいるので、私はこの方式は合理的だと思う。それに私はマグロの握り2カンと刺身数切れで十分に満足だ。

  アルコール飲料が陳列されているコーナーにはワインがない。やむなく、“花の舞”の吟醸で我慢した。ちなみにウィスキーもなかった。 

  料理の謳い文句は、蟹と鯛料理の食べ放題。たしかにズワイ蟹は食べ放題だが、殻を外す道具が近くになく、手と歯で外すのは痛くて面倒なので一皿だけで降参。私はともかくとして、周囲を見渡すと何皿も食べている客が多かったから、当日の目玉料理の役割は十分果たしていたと評価する。

  鯛料理とは、鯛の身を具材にしたペペロンチーノ(オリーブオイルで和えたガーリック風味のスパゲッティ)、鯛のあら焼き、鯛の唐揚げ、および鯛の炊き込みご飯の4種類。どれも鯛の身を少量しか使わない料理である。鯛料理ということで、尾頭付きの焼き物を想像していたが、その考えは甘かった。しかし、ペペロンチーノや炊き込みご飯は美味しかったので満足した。

  食べ放題・飲み放題にする理由は、食材ロスよりも配膳係削減によるメリットの方が大きいからだろう。そして、食堂が広く、テーブルが足りなくなることはないから、入口で客を整理する係員は必要ないし、食べ終わったテーブルは客がまったくいなくなるまで放置しておける。

  温泉宿の朝食の定番といえば、なんといっても鯵の開きの干物。確かに鯵の干物はあるが、半身だけ(開きではない)。

  朝食の定番の一つは焼き海苔だが、それがやけに小さい。計ったわけではないが推定2センチ×6センチ。普通は4.5×7センチ程度ではないか。

  コーヒーに入れるミルクの容器が標準よりも2~3割小さい。涙ぐましい工夫である。

  部屋に調度品がまったくないから、殺風景で居心地が悪い。クロゼットもないから、脱いだ衣類はハンガーにかけて、壁に打ち付けてあるフックに引っかける。

  チェックインの時に係員が部屋に案内しない。そして、ロビーに置いてある浴衣を自分が持参する。この程度のセルフサービスは我慢できる範囲内だが、壁紙が多少はがれている、トイレが狭い、隣室の声が聞こえる、などは不快感を伴う。

ケチをつけるときりがないが、褒めるべき点もある。それはロビーと大浴場が広々していること。もっとも、これはこの施設買収以前から存在したもので、伊東園が改装したのではないだろう。

結論として、伊東園土肥の安値の秘密はコスト削減の工夫と手抜きである。だが、超安値を実現している最大の要因は規模のメリットであろう。60台ほど収容する駐車場がほとんど埋まっていたし、新宿・横浜からの直行バスや路線バスで来る客もいるから、当日の宿泊客は推定200人。夏場の最盛期には満室になり、300人以上が宿泊するという。大型施設である利点を存分に生かし、薄利多売方式で利益を生み出していると推測する。

伊東園グループは経営不振とか倒産したホテルを次々に格安で入手しているから、建物の減価償却費は格段に低いはずだ。加えて、コスト削減のノウハウが確立されているから強い。グループのホテルは全国で約50件だが、まだまだ増えるだろう。

 

 

 

 

 



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