南瓜の旅路

　南瓜が吾が庭に根を下ろしたのは、野菜の苗が店頭に並び始めた頃だった。知人で男性のカメラマンが創ったという南瓜のケーキを、学習会の場でいただいたことに、思い立ったのである。採れた南瓜を届けたら、おいしいケーキを創ってもらえると聞いて。
　根付いてからというもの、毎日毎日が感動三昧。庭のど真ん中に根付いた南瓜は、どんどん力強く這い出し、ふっくらした蕾は陽を浴びて次々と開花した。一列に整列した大輪の花は眩しく、まるで地面に太陽があるかのように。そのうちの一つが結実し、刻々実の姿が増して収穫になった。収穫の日から随分経過した今朝、郵便局の窓口へと運ばれ、今頃南瓜は次の地に向かっているであろう。ケーキの姿に変わって、私に再会するために。