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アーサー王

2016-10-16 23:49:35 | 観劇
月組さんの「アーサー王伝説」、2度観てきました。
文京シビックは初めてだったのですが、本来は音楽ホールなので音がよく響き、お芝居向きではないですね。2階席からだと、残響で台詞が聴き取りづらい。1階席だとそうでもないのですが。
石田先生、海外ミュージカルの潤色は初とのことですけど、う~ん…小池先生って、やっぱり潤色が上手いんだな~と思いました(爆)。
今回、どこまで原作ミュージカルを踏襲してるのかわかりませんけど、かなりアレンジはしてあるような感じで、その微妙な石田テイストと、それでいて再構成にあたってやや遠慮したような風情が、物語の盛り上がりを中途半端にしたのかなぁ?と、そんな風にも思いました。
もともと、アーサー王ってどぎつい話なので(不倫だの近親相姦だの/汗)、そこを描こうとしながらすみれコードに遠慮したようなさらっと感(石田先生なのに/苦笑)が、作品を物足りなくしてるのかも。ドロドロしたほうがドラマチックにはなったと思います。

たまきち君のアーサー王。ぴったり、そのまんま(笑)。
すくすくと真っ直ぐに育った、優等生で正しい、白い王様。…白い王子様、でないところが、たまきち君のあの落ち着き感なのだと思います。
真ん中で、当たり前のように王様としてふるまい、命じることも指示することもさまになっている。「月雲」を思い出しますね。木梨皇子も、同じ系統の役でした。
孤独に耐え、使命を全うし、常に正しくあろうという姿は、美しくはありますけど、ちょっと物足りない…。
その影の部分をさらけ出すのに、グィネヴィアやモーガンという存在があるわけですが、結局深くまでは突っ込まずに綺麗に収めてしまうので、勿体ない。
闇の部分がないのは、たまきち君の強みでもあり、これからの課題でもあるのかなぁ~なんて思います。
もうひとつ、たまきち君の強みは、歯の浮くようなキザったらしい台詞も、紳士に優しく当たり前のようにさらっと言えるところ(笑)。「薔薇と貴女とどちらが美しいか、確かめに参りましょう」なんて、聴いてるこっちが恥ずかしい(大笑)。
たとえば…これがまぁ君だったら、もっとチャラくなりそうだし(褒めてます/笑)、みりお君だったら、裏がありそうだし(褒めてますって/笑)、たまきち君は真面目に本気で言えるところが、王道だなぁ~と。
プレお披露目の役としては、まずまずの滑り出しかな~。
ちゃぴちゃんのグィネヴィア。綺麗ですけど…貫禄(苦笑)。
これまであまりなかったような、キラキラお姫様な役なので、どうかな~と思いましたが、ビジュアルが綺麗で可愛いのと、さすが上手いのとで、貫禄は差し引いても充分です(爆)。
もともと原作の物語のグィネヴィアって、あまり印象のよくないお姫様で(苦笑)。アーサー王もなんでこんな奥さんもらったんだろう?みたいな感じですけど、今回の作品では、恋を夢見る乙女と、本当の恋を知ってからとで、その間に揺れるグィネヴィアを描いてあるので、やや無理やりですけど、ちゃぴちゃんの上手さに救われてる部分はあるかな、と思います。
あーさ君のランスロット。あーさ君のアイドル系ビジュアルから、もっと少年っぽいかと思ってましたが、立派にイケメン青年騎士でした。
ビジュアル以上に、しっかりと騎士として大人の風情をお芝居で見せているので、違和感がない。ちゃぴちゃんのグィネヴィアが惹かれるのもわかりますし、たまきち君のアーサー王と並んでもバランスが良い。上手いなぁ…あーさ君。
湖の騎士ランスロット、と紹介されますが、なぜ‘湖’なのか、誰も突っ込まないんですね(笑)。…要は、‘湖の妖精’に育てられたからなんですけど。妖精で魔女のヴィヴィアンに育てられた、というのがランスロットの本来の設定です。
モーガンのるりか君。アーサー王の物語では、必ずキーマンとして登場する魔女ですが、今回はアーサー王の光に対峙する闇の存在。もっと深く突っ込んで描いていけば、もっとドラマチックになったのに…と思うと、勿体ない。やっぱりお披露目でそこまでドロドロはまずいのかな(爆)。
本来は、アーサー王の異父姉でありつつも、アーサーとの間に息子をもうけ(モーガンでなく、もう一人の異父姉モルゴスとの間の子ともいわれる)、その息子モルドレッドが成長して円卓の騎士となり、アーサーを裏切って相討ちの形で王に致命傷を負わせ、王国が崩壊する…という物語があります。
でも、致命傷を負ったアーサーを癒すために、永遠の国・妖精の国ともいうアヴァロンへいざなうのも、モーガンの役割だったりします。
異父弟を憎みつつも、愛しているのが、モーガンという存在だとすれば、今回の作品の結末で、最後にモーガンが言い置いていく台詞って、かなり奥深いと思うのですけど。

マーリンの華蘭君。この系の役は、もはやお手の物という貫禄。飄々とするときも、重厚にするときも、絶妙のバランス。前回の「信長」でのオルガンティノといい、すっかりたまきち君のお守役?になりつつあります(笑)。
悪役メリアグランスは、まゆぽん。…おぉついに黒い悪役だ!インパクト大で、カッコいい。なんとなく、お芝居の表情のつくり方や仕草が、ともみんに似てきた…。踊るとまったく違うんですけど、身体の動きで空気を動かそうとするようなお芝居の形に、面影がありますね。
今回、大注目だったのが、アーサーの義兄ケイ卿の佳城君。ここ最近の新公で、お芝居上手いな~と注目してた子ですが、本当に上手い。大活躍で、いい味出してます。前回の「信長」でも、二条晴良の情けないお公家芝居がやっぱり上手くて観てたんですよね。
あと、ガウェイン卿のゆりや君。本当に、良い役者さんになりましたね~。王に仕える家臣、騎士としての存在感が、しっかりと伝わってきて、カッコいい。お髭もダンディで素敵です。優れた家臣が、心から忠義を尽くすからこそ、その王たるアーサーの大きさがわかる、そういう関係にしっかりと見えるのが素晴らしい。
モーガンの侍女、わかばちゃんと美月ちゃん。わかばちゃんのアダルトな高慢さも綺麗ですけど、美月ちゃんのすごく楽しげに小悪魔してる姿が、いかにも月娘らしく活き活きして好きです。
少女の形をしたケルトの神、小雪ちゃんは、ちょっと最初びっくりしました(苦笑)。そういや石田先生、「双曲線」のときにも、ああいう天使ちゃんたちを使ってたなぁ。微妙に物語から浮いてるので、神だから浮いてもいいと割り切ってしまっていいのかどうか。

基本、アーサー王ってケルト系の古代信仰がもとになってますけど、まとめられたのがキリスト教絡みなので、あれこれ読んでると混乱するんですよね。
そもそも、聖杯って何?というところですが、舞台では何の説明もない。…あれでわかるのかな?ロールプレイングゲームとかやってた人なら、必要アイテムで出てきたりしたかもしれないけど。
もとは、古代信仰から派生した、豊穣の器、尽きない富の象徴、というような意味のもの。食物があとからあとから出てくるお皿とか、掬っても掬っても空にならない鍋や釜とか、神話には結構出てくるものらしい。
そこに、処刑されたキリストの血を受けた杯、という教義が加えられて、神聖なもの、奇跡の聖なる杯、高潔な魂の持ち主にしか見出せないもの、といった信仰が加えられ、真に高潔な騎士によって探索されるものとして、聖杯探求の物語になっていったと…そういうことらしいです。
舞台でマーリンが、いきなり聖杯が必要!と言いだして、みんなそれで納得するのが…いいの??みたいな(苦笑)。アーサー王=聖杯探求と思い描ける人って、そんなにいるのかな?
でも実際、アーサー王って物語の中で特に何もしないんですよね(爆)。冒険するのはほとんど円卓の騎士たちで、王は大きな戦いのときに陣頭に立つ、くらいしか出てこない。個性的でいろいろなクセのある騎士たちを、一つに束ね、皆から敬愛されるからこそ、アーサー王は偉大だ、とそういう存在に思います。

舞台の話からどんどん逸れてしまいましたが、楽曲は「1789」と同じ作曲家ということで、現代調のポップ系。若いたまきち君やちゃぴちゃん、あーさ君たちを中心にした作品ですし、現代的で似合ってます。
少し民族音楽っぽく、ケルトやアイルランドの曲調(「リバーダンス」みたいな)が混じってて、聴くのも面白いです。
まだ初日から間もないですし、お芝居がこなれてきて深みが増せば、もっと盛り上がるのかなぁと思えど、私の観劇はこの2回のみ。
あとは、1年後?にCSで映像が流れるのを待つとしましょうか。

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2 コメント

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アーサー王 (あいず)
2016-10-19 22:02:46
原作を読んだことなくて、??なところもありましたが、2回目からはまりました。どのキャストもキャラ立ちしていて、目が離せなかったです!!特にゆうまくんのメリアグランスは秀逸で、鳥肌ものでした(≧▽≦)博学のさち様の解説で、なんとなく、少し理解が深まったような気がします(^^)

説はいろいろあるので (sachi)
2016-10-19 23:33:30
ファンタジーが好きなので、一時期あれこれアーサー王関連も読みましたが、いろんな説やパターンがあるので、これが正解というのはないんですよね。
今回の舞台は、その一部を使ってアレンジしてると思うのですが、モーガンのエピソードはできればアーサーとグィネヴィアとの三角関係で、もっと実姉との関係に苦悩するアーサーとか、ドラマチックに盛り上げる要素にもなったのに~と思うと、もったいない気がします。お披露目公演ですみれコード抵触はまずいのかもしれませんけど(苦笑)。

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