あの日、目にした世界が、
今でも嘘であって欲しいと願う。
真偽と言う問いかけが無意味なほど、
あの景色は現実で、絶対だった。
あの時、私の意識は現実を拒んだ。
理解はその欠片すら姿を現さなかった。
自分がどこにいるのか忘れるほど、
自分の見ているものが分からなかった。
現実は徐々に、私に浸透してきた。
目に映る風景に感情が追いつき始めた。
非日常な世界を色付けるように、
脅威と戸惑いと哀しみが溢れてきた。
当たり前、なんて、ただの、言葉。
決して未来を約束したものじゃない。
この世界は、一瞬で、別世界になる。
僕にできることは、忘れないことだけ。
明日のためにできることなんて、
何一つないのだから。