ちやうど昨年の同じ頃だったらふか。
思うところあつて
生まれて初めて五分刈りにして見たが
だうしてこれがなかなか快適であつた。
それからずつと五分刈りを維持してきたのだが
「だうせなら一厘刈りが経済でもある」とばかりに刈り込んだら
頭ばかりが冷えて、だうも風邪をひいたやふだ。
微熱ではあるがぐらりぐらりと目が回り、寒気もする。
休みを取つて寝たり起きたりの午後三時。
貰ひものの柚子の砂糖漬けがあつたから
これを鉄瓶のお湯で割つて飲んだら
体が芯から温まつて幾分按配が良ひ。
さて、そろそろおかみさんが帰つてくるゆふぐれ時。
小言や愚痴を聞かされないやうに狸寝入りを決め込む事にする。