かみかみの徒然草

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東山魁夷記念館

2006-01-07 23:59:37 | アート
今日は家族と市川にある東山魁夷記念館に行ってきました。
オープンして間もない記念館は、いわゆる日本画家・東山魁夷のイメージとは思いの外異なる外観でした。
もっと和風な建物を想像していただけに、いきなりドイツ風メルヘンちっくな建物にはびっくらこきました。

住宅街の中に突如現れたメルヘン屋敷(??)って感じで、どうなの??とおもいましたが、魁夷が晩年までの大半を過ごした地元市川ってだけあり、企画展示は、魁夷が画家になるまでの道のりと魁夷の人柄を偲ばせる展示が中心でした。
私の中で「東山魁夷」と言えば、山や自然の風景画をひたすら描く巨匠というイメージしかなく、名前も随分と大物を思わせる感じで、ぶっちゃけ、平山郁夫と混同してました。(←オイ!!)
でも、ここの展示を見ている限り、ユーモラスで思いやりのある方だったようです。むしろ、日本画の巨匠だからと偉ぶるところも全く見られない。どうやら、私は東山魁夷を誤解していたようです。

私が今回見た中で心打たれたのは、若い頃、病気療養中の弟を元気づけるための葉書。
恐らく自作と思われる冒険活劇をイラスト付きで連載小説風にしたのを葉書にして送ったようです。
アラビアンナイトのアラジンを思わせる少年が冒険の中で悪者を倒すお話ですが、絵がホント、イラストっぽくて、可愛らしいです。
可愛らしいイラストに魁夷のユーモアと優しさが溢れていて、展示物の中では一番好きなものです。
そして、最後の葉書に「お知らせ!」というタイトルのものがありますが、送った葉書のお話の連載回数を誤記していた部分について謝る内容でした。その中でシンキチ先生とちゃっかり書いてあるのには微笑ましさを感じました。(ちなみにシンキチとは魁夷の本名である)

そしてもう一つ、意外なモノも展示されていました。
まだ、画家として知名度が上がる前の頃の作品で、進駐軍の赤十字用のクリスマスカードの原画が展示されていました。
青空をバックにスキーをする三人の男女・アヒルのお風呂に入っている赤ちゃん・プレゼントを配ろうとするサンタクロース。
どれも、いわゆる東山魁夷作品とは全くかけ離れた毛色の異なる作品ですが、配色やデザイン性の高さに、魁夷のデザイナーとしての才能が垣間見えます。
特に、スキーと赤ちゃんの絵は一目惚れして、思わずポストカードを買っちゃいました。(後日画像アップします)
美しくポップなイラストを見ていると、生活のためとは言え、楽しんで描いていたのかな?という気すらします。
魁夷も違う時代に生きていたら、グラフィックデザイナーやイラストレーターになってたかもしれないです。

記念館自体は大きくなく、30分足らずで見終わってしまう感じですが、その後、ビデオを見て、学芸員さんによる説明会に参加しました。
聴衆の数の多さに学芸員さんは非常に驚かれていました。
単独で見ると、結構気づかないことが多くて、説明があるとまた絵の見方が変わってきて、新たな発見が出来ます。
近頃は、音声ガイドは必ず入り口で借りるようにしています。
魁夷の作品の大半は緑やブルーが使われているのですが、普段着もブルーのカーディガンだったり、愛用のスケッチ用の椅子もブルーとグリーンのチェックだったりと、かなりの寒色系好きとお見受けしました。

小さな記念館は意外にも色々な発見が詰まっていて、これから、ここの展示に期待が出来そうです。
これが大きい美術館だったりすると、ここまで出来ないような気がします。
小さい美術館だから出来ること。これからもどんどん意外性を発揮していって欲しいものです。