八ヶ岳山麓の暮らし

標高およそ1,200mの八ヶ岳山麓で、見たり聞いたり経験したことを気ままに書いています。

伊豆・松崎の長八美術館

2017-10-27 06:28:41 | 日記
 2017年10月5~6日、年1回のシニア大学同期会旅行で東伊豆へ出かけた。初めて訪れた長八美術館が素晴らしかったので、以下に書き記しておくことにした。

 彩色した漆喰を鏝でレリーフ状に盛り上げて描いた漆喰鏝絵(しっくいこてえ)の起源は、左官職人が施主に対する感謝の気持ちをお礼として表すために、家の戸袋や壁、土蔵の内扉や外壁の一部に彩色した漆喰絵や模様を描いたとされる。その漆喰鏝絵については、町内や隣の原村の土蔵などに描かれているのを見て知っていたが、職人の左官仕事を芸術の域まで高めた先人がいたとは知らなかった。

 その先人・入江長八は、幕末から明治にかけて左官の名工「伊豆の長八」とうたわれて活躍した。松崎町では、長八の偉業を讃えると共に、漆喰鏝絵の魅力を全国に発信するため1984年月にこの美術館を開館し、2000年から「全国漆喰鏝絵コンクール」を開催している。私たちが訪れた時には、長八の作品40点に加えて本年第18回コンクール入賞作品15点を見ることができた。

 貧しい農家の長男として生まれた長八は、手先の器用さを生かして身を立てるべく、12歳の時に村の左官棟梁のもとに弟子入りした。単なる左官職人に満足できなかった長八は、19歳の時に江戸に出て狩野派の絵を学び更には彫刻も学んだ。これを応用し、岩絵の具を混ぜた漆喰で絵を描いたり、彫塑した文様に色彩を施すなど芸術の域にまで昇華させた。館内には、長八が使用した大小二百を超える鏝も展示されていて、微細な表現に必要な道具の開発にも力を注いでいたことがうかがわれた。

 今年の入賞作品の中には、日本画の技法を学んだと推察される絵も多く含まれていて、供え付けの拡大鏡で覗くと顔のしわや着物のひだや葉の葉脈なども詳細に描かれていた。私たちは長八の作品だけではなく、現代作者による作品の素晴らしさに感嘆しながら鑑賞した。額に入れれば、観賞用の芸術作品として立派に通用する一級品だ。

 郷土の先人・入江長八が残した文化、芸術を、「全国漆喰鏝絵コンクール」での奨励とその魅力を広く世に発信している伊豆・松崎町の努力にも共感した。そしてこの美術館の生みの親となった建築家・石山修武氏の尽力も大きかったことを知った。地域が持つ伝統や文化を大切にすることは、人々の心を豊かにし、そこに住む人々の誇りと郷土愛に繋がるものだと私は思う。
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モミジする季節

2017-10-20 06:45:15 | 日記
 当地に移り住んでこの秋で満20年になる。もともとあった木に加え、あれもこれもと欲張って植えたことにもよるが、夫々に成長して色とりどりのモミジが楽しめるようになった。それらを色別すると下記のようになる。()は枯れてしまった木。

。赤色系
コミネカエデ、ニシキギ、マユミ、紅シダレ、大山桜、カスミザクラ、ナツハゼ、ドウダンツツジ、レンゲツツジ、ミツバツツジ、蝦夷紫ツツジ、オンツツジ、ブルーベリー、ガマズミ、ナツツバキ、ヤマボウシ、ムシカリ、(コハウチワカエデ)、(メグスリノキ)、(サラサドウダン)
。黄色系
白樺、コナラ、ブナ、ダンコウバイ、アカシデ、ウワミズザクラ、青シダレ、ヤマモミジ、コシアブラ、コブシ、クロモジ、アズキナシ、リョウブ、アオハダ、トサミズキ、フサザクラ、レンギョウ、ヤマブキ、カツラ、(ダケカンバ)
。茶枯れ色系
落葉松、カンボク
。僅かに落葉するものの常緑系
シラビソ、コメツガ、サワラ、イチイ、シャクナゲ、リュウキュウツツジ、ソヨゴ

 カツラがモミジするとあたりに芳香が漂ようになる。また庭が色とりどりのモミジで敷き詰められる光景も美しい。そしてソヨゴ、ニシキギ、ガマズミ、カンボク、マユミなどの赤い実も控えめな彩りを添える。木の種類によってモミジの時期や濃淡があるが、ヤマモミジのように緑、赤、黄色の葉が混在するこの時期の美しさも私は好きだ。

 コハウチワカエデやメグスリノキのモミジは美しかったが、根元にカミキリムシの幼虫が入り枯れてしまった。夫々の木の盛衰も見続けながら、日々、年年歳歳、変わりゆく庭のモミジの秋を見ていることになる。モミジの名所に行くことは切り取った時間での観察に過ぎないが、家の中から窓越しに、デッキの椅子に腰掛けて、或いは庭を歩きながら見る庭のモミジには、時空を共有している中での新たな発見や喜びがある。
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山のキノコとその食べ方

2017-10-13 06:46:54 | 日記
 朝の最低気温が10℃前後になると、当地では“ジコボウ”の名で親しまれているハナイグチというキノコが採れるようになる。このキノコは、松の毛細根と共生する菌根を作って地上にキノコを出現させるもので、松林がキノコ狩りの適地でもある。

 キノコ採りが好きな妻は、一日に二度三度出かけては袋一杯にジコボウを採って来る。玄関先でキノコの一本一本、泥や落ち葉を払いハサミで地中部分を除き、そして台所でよく水洗いして鍋で煮こぼすまで、一連の下ごしらえに費やす根気にはいつも敬服する。ビニールに袋詰めし冷蔵庫や冷凍庫に保存しておけば、食べたい時に食べられるし、地元の知人にあげたり都会に住む子供たちに送ることもできる。

 ジコボウは独特のヌメリがあり、味噌汁、そば・うどん・ほうとう、そして年配者には懐かしい“すいとん”の具にすると美味しい。また妻が地元の友人から教わったラッキョウ酢などの甘酢に漬けた後で、ポン酢醤油とカツオブシの大根おろしはなかなかの味だった。白米のおかずにも合うし、酒の肴にも合うこと間違いなし。こう書いてみると、地元の人がジコボウを好む理由は、キノコの中でいちばん食材としての用途が広いのではなかろうか。

 気温が10℃を下回るようになれば、地中の埋倒木を栄養源とするチャナメツムタケの発生が期待できる。チャナメツムタケは、ジゴボウ同様、これまた用途が広く美味なキノコである。そして、枯れ幹や倒木、切り株にできる腐朽菌でもあるクリタケも採れるようになる。こちらは炊き込みご飯として、シーズンに何度かわが家の味となる。また今年(2017)初めて作った、クリタケ、チャナメツムタケ、ムキタケを一緒にし、酒、砂糖、醤油少々に生姜の千切りを加えた煮つけは、美味で新たな定番になりそうだ。

 そして初冬、最低気温が氷点下近くになり赤松と広葉樹の混生林で稀に採れるシモフリシメジは、“香りマツタケ、味シメジ”と賞賛されているように、炊き込みご飯としてシーズン最高のご馳走だ。これは私も妻と一緒に採りに行くことにしている。春の山菜と同様、秋のキノコ採りは食べてよし、そして人にあげても喜んでもらえる地域ならでは自然の食材だ。加えて妻にとっては、この時期、自分だけが知る採集ポイントを見回って見つける楽しみな季節にもなっている。
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シルバー川柳

2017-10-06 06:54:25 | 日記
 川柳については、シニア大学時代の仲間とのバス旅行や集まりで紹介されることがあり、その出所を知りたいと思っていた。アマゾンで検索してみると、発行所の違う幾つかの川柳本があることがわかった。そのうちGOOブログに紹介されていた「シルバー川柳」を、アマゾンから買って調べてみた。

 するとこれは、(社)全国有料老人ホー協会が発足20周年の記念事業として全国か応募を募り始めたものが、予想外の反響と優秀川柳を広く世に知らしめたいという思いから、2001年以来、毎年敬老の日にポプラ社から発行されている本と知った。

 毎年、全国の老若男女から10万句以上の応募があり、それを協会の広報委員会と事務局、ポプラ社編集部が、五次の選考プロセスに加えて最後は協会に加盟する有料老人ホームの入居者たちの人気投票を経てその年の入選作20句を決めているのだという。購入した本には、2年分の入選作と複数年次の応募作の中から合計88句ほどが掲載されていて、夫々の脇に氏名、性別、年齢、在所都道府県、職業も小さく記載されていた。

 以下は、購入した本と、アマゾンに紹介された各発行年次本の表紙などに記されていた中から、12句を選んで紹介させてもらった。誰にも思い当たることと、そうなりたくないという思いがあり、それを自身に照らして普遍的な笑いを誘うのだと思う。

〇紙おむつ 地位も名誉も 吸い取られ
〇立つまでは 何をするのか 覚えてた
〇来世も 一緒になろうと 犬に言い
〇久々の 化粧に孫も 立ちすくむ
〇お辞儀して 共によろける クラス会
〇「アーンして」 昔ラブラブ いま介護
〇万歩計 半分以上 探しもの
〇確かめる 昔愛情 いま寝息
〇念のため 妻の名前を 日々復唱
〇恋かなと 思っていたら 不整脈
〇温かく 迎えてくれるは 便座のみ
〇生き甲斐は 何かと聞かれ 「生きること」
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