CECIL【110】
「誰とですか?男は、まあそんなものはいいんです。さっきのあれ
何で、皆して美形?オーナーもカメリアもモデル事務所かホスト
クラブかって思っちゃいました」
「はは、そうね?美形だったら妖魔に釣られたようにふらふらっと
誰もが言うこと利くだろ?ナールはまだ人を外見判定するから」
「ふらふら...う゛... 」
「だからと言って美形じゃないのがいいってわけでもない。そんな
外見に一切囚われないで心眼で人を見ようってことだよ俺たち」
「そういうモデルクラブ出身なんですか、みんな」
「え゛...はは、違うけど。それを言うならたまたまだ」
「でもあんなに揃ったら怪しいですね」
「だからたまたまだって。さてどうしようかなあ... 」
「何がです。ないものはないが証明出来て安心しました」
「それは俺が困る。ユリウスも困る」
ポケットやバッグを全て見せて貰ったがどこにもない。
後は―実はブラの中にあるんじゃないか(女たちは隠し持つときは大抵はブラの中だ)と思うがもそれは要求できない。
見せて貰う、見せ合う...では、女同士がいいよな。しかし、ミオとキャンディスは親友だから工作させられないし。
「どうしたんですか?」
「え、や、何で男いいですとかデートしないとか言うのかなと」
「は?私に男紹介して実は密着見張 でもしようとかですか?」
「はあ?何その豊かな想像力。そんなの考えてないよ率直観想」
いやそれ少し考えたけどさあ...何だよ、鋭いな...。
「そうですか。心配頂いてありがとうございます」
「え、怒った?ごめんて― 」
やっぱエヴァしかいない...堅牢城だ...。
ミオが、今日から海岸を走る!とイーギンに言うと、ランニングは鶏ガラになるからよせ。苦手だと言った。と言われた。
「会社終わってからハナオンのジムは間に合わないの。サービス業
の人のためにあるようなもので土日祝日休みで平日は6時に終る
ハル市街のジムなんて往復3時間!」
「体を鍛えろはジムに行けではない。美女でいろってことでもない
エステに行くくらいなら、だ。序に痩身禁止を言っただけ。毎日
フツウに動いて時間を持て余すなら、タピアみたいにハナオンの
ジムで食事とトレーニングのトレーナー契約をすればいい」
その発想はなかった...。
「執事に頼め。してくれる」
今朝、出会った瞬間にイーギンを即座に捕まえてした話。
それだけで終わってイーギンは会社にUターン。
何しに戻ってきたのかしら?と思うが、そこは気にしない。
しかし、執事はキーパーたちの世話で忙しそうで―気が引ける。
殆ど家にいないイーギンは知ってる?いえ、知ってるのよね?
全く働かない怠け者と言っていい程のキーパーたちを雇っているのはイーギンなんだから...執事からクレームたっぷり聞いてるはず。
夕べの帰り道、ピニラのことを聴いてキーパーたちの謎が解けた。
5人でも多くないと思える家だけど、キーパー皆、昼頃出て来たり早く出てきたと思えば昼寝に自室に戻ったり長時間お喋りしてたり鏡があれば自分に魅入って容姿整えていたりリビングでテレビ見ていたり私用長電話してたり。の、主かお嬢様のような自由奔放。
5人は―ザーインの女性支援団体バアル協会からの依頼。
ダリが女の子たちを人身売買組織から救出の度に頼まれて―5枠で引き受けて現在定員5。
働かないのは仕事をしたことがないから―仕事は家事だと言っても彼女たちの根っこに、面倒臭いことはしたくないの一徹がある。
人に上下優劣あるで育ったか拉致されていたときに酷い暴力と共に植え付けられたか で―叱れば素直に仕事するが、そのとき一瞬。
イーギンとミオと執事のいないところで、いないときに自由奔放。
よって、掃除も何もしていないから執事は頭が痛い。怒る。叱る。
暴力や追放など不利となる罰のないせいか、何度も何度も繰り返し―10年になる人もいるが、何ひとつ 変わらない。
成程、その5枠が社員ではなく自宅のキーパーという意味が解る―反省有り無しではなく刹那的視野しかないのだろう。
イーギンは怒るでもなく、仕方ないよな?と執事に丸投げ。
執事は毎日骨が折れると言う感じ...誰かを教育って仕事じゃないもんね...1日中張り付いては自分の仕事が山積み...本当に可哀そう!
それをただ傍観してた私も罪重い...私も執事に頼りっ放し。
あっ...ああああ...これも私がしろって?...今、気がついた。
イーギンは私を執事に向かせた。ジムなんて実はどうでもよくて、この5人、どうにかしてみろ、出来るか?って言われた気がする。
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