TELIPINU【77】
旅は今までのようにはいかなかった。
途中休憩が多すぎると言うほど多い。
リュディアまで1ヶ月以上かかるほどよく止った。
ギーガが無意識に口にした病人や怪我人と出会うため―単独や連れ立って旅する人や幌馬車、キャラバン隊、そこにハスが馬を向けてこっちから向かう場合もあれば寄ってくる場合もあった。
日暮れになって一日、賊に遭うはなかったが、出発して直ぐから何回足を止めたか―10超えては数えるのも面倒なほど。
ナタとウーア、ハスとマナが客…困っている人の相手をしている間、休憩しようとすればギーガにヒナウィラが付いて離れない。
テリピヌやレイリィオンに依る隙も与えないまま―ギーガは雇主の信頼得るためにヒナウィラとさも楽しそうに過ごす。
しかし、待て。それはおかしい。信頼を得るためって何だそら。
こっちがお願い じゃない...何かヘンテコなことになっている。
バルナのときはライバンに悪戯したゲーム完結のためあったから英雄宗教に倣ったが...あれ、何でこうなったんだ?
何だっけ?引っ掛かった縁だから?だったっけ?
英雄宗教のペースに乗って生きるはとても難しいと感じてギーガは脳まで曇ってきた気がしていた。
その間、テリピヌはとても仲良く過ごすギーガとヒナウィラを遠巻きにしてレイリィオンと友に居た。
テリピヌは出発のときは納得も理解していたが複雑―ヒナウィラは自分がギーガの妻だと知ってるのに。
しかし、ギーガと離れて―少し心に涼しい風が吹き抜けるような穏やかさが持てるように変わった。
柔らかいテリピヌに戻った様子を見てレイリィオンは安心した。
そのうちギーガはヒナウィラに付かれる先でナタやウーアと絡んでは、大人 でなくなっていた。
人が人を人と思わない社会―地上を覆う人と人の共食い。
お互いの共依存に私たちは助け合ってると大声でほざく。
5欲で穢れた手垢塗れの素手で触り合う敏感過剰反応。
英雄宗教の中、輪廻出口を見つけないで皆で叫び合う。
リュディアに居れば見ずに済む―外国旅の出会いは通りすがり。
英雄宗教溶解は習得したいが、神経磨り減らすだけの深い関係はいらない。
王だと言えばよかった...面倒臭。
英雄宗教では王と判った途端上下差別して自分を下として平伏、王と自称した相手に触れなくなるんだ?そうして欲しい。
猜疑心や横柄とか欺瞞や傲慢とか金持ち偉いとか英雄宗教のそういうのは沢山知ってるからそういうのは見せてくれなくていい。
それ以外の英雄宗教を教えてくれ。
あ。
俺がお前らと一緒にいるのは―そのためだ。そこなんだ。
ギーガはナタと正面向いて頭に来て―不意に謎が解けた。
ギーガはナタと言い合いつつ血走る己と分離して瞑想に居た。
ナタとウーアと対峙しているギーガの横にヒナウィラが密着しているが、レイリィオンはテリピヌに安心してギーガに近付いた。
「ギーガ、どうした?」
「このまま南下すれば早いのにわざわざ西、地中海近くの街
に入って宿を取るだと!寄り道もいいとこだ。一日分ロス
今日一日も只管走ったなら一体どれだけ走れたと思う!」
「若いの、お前たちの埋葬なんてそれこそ何の利益も出ない
無益な時間に付き合うんだ。それは、お互い様じゃないか」
ナタが余裕の笑をしてガキのタワゴトを丸め込むように言う。
無益な時間だとおおおっ!?
そうだお前らはいつも言葉だけ知った風だっ!
お前ら英雄宗教の人間の時間全てが無益だっ!
だいたい...何をもって有益で無益なんだ?益って何だ...?
レイリィオンもそろそろギーガのようにカチンと来ないではないが、ギーガのように不死の無防備ではない。
命張る壮年戦士は静寂を纏っている。
レイリィオンは、そうだな。ナタの言うとおりだ。と返した。
ギーガは面白くない、というより、溜まっていた毒を吐いてすっきりした様子で―では、宿に向かう。と言った。
「ふふ、流石にボスには素直だな。若いの」
「お陰様で!」
ギーガはナタにそう言うと、馬に乗ろうとする。
それをレイリィオンが止め、当然のようについて来ようとするヒナウィラに、来るな。と言ってギーガを引っ張った。
TELIPINU【78】につづく。 |
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