FIND【260】
『シルバーウェイ・ホテル』のフロントのロビー。
並ぶソファの一角に座っているギーガとジャック、ディビッドをイーギンが見つけた。
ホテルなど人の出入自由な宿泊施設を利用する人は自分の名を告げて身分証をフロントに提示する。
施設内にいる人の身元確認は犯罪防止に義務付けられている―
フロントがその場で身分証通してサウにアクセスして事実確認。
お陰で下層客の淫猥乱用が減って品が上がるとホテル側は嘯く。
ギーガはラキスのユリウス・ゼファーで住所はアーク街。
ディビッドはミアと同じ住所でサ・ナール身分の登録済。
『シルバーウェイ』のアンナや支配人、スタッフ面々に馴染みのイーギンもここで身分証を出して指定紙に署名。
イーギンに添ってきたオットーとエミリも同じことをした。
「いらっしゃいませ。お待ち致しておりました」
「アンナ夫人にロビーにいると言ってくれないか」
「はい。呼んでまいります」
「あ、まだ、いいよ。8時でいい」
言ってイーギンはオットーとエミリを伴い、ギーガに行った。
今初めて会うジャックに『リーベ・フロッス』社長として挨拶、オットーも品礼尽くして挨拶を交した―そしてジャックと談笑。
今日のジャックは黒服も兵隊ひとりも連れていないフツウの紳士―クリスチャンの解決はこのイーギンという男のお蔭だとカーヤから聴いていたので一目置いて話をする。
5人の話は弾み、ブルーチーズは美味しいという話になった。
オットーが、ブルーチーズは好きです。と言うとイーギンが、今日は嫌いになった方がいいぞ。と言って笑を誘う。
揃ったメンバーにわけのわからない威圧を感じて居たエミリはギーガに親しく声を掛けられて横に座るように言われて―そうした。
その後―アンナが現れた。
数日前のイグリッドの死は箝口令―知らないことになっている。
初対面の挨拶を交わしてイーギンが早速、遊戯業を頭に種々様々な会社持つジャック とアンナに紹介―『クワロフス』は言わない。
そして話を切り出した―何の目ぼしい発展があるわけでもない
今の時期に、ジャックが株主筆頭ほどの%株を買う という話。
アンナは耳痛も心痛も抑えながら静かに話すイーギンの話を仔細
飛ばしてマフィアが株を牛耳りたいと願っている意味は理解した。
生真面目な顔のイーギンとは対照的にギーガは常ににこやか。
次にオットーが、それで。と加えて話し始めた。
オットーが資金と経営の変動概要を説明、ギーガが加わえた。
「一介のパートナースタッフでさえ最低月給が30万イーを超える
『シルバーウェイ』となってしまうと言うのは如何でしょう?
成すところ福祉奉仕の救済としても繋がります。これはラキス
の立場上の応援ですが」
利潤納税増えれば救済費用増えるということだが、ナールにわかり易いよう言った表循環表示―自利追求応援の意識などない。
自分だけ美味しい目にあればそれは毒と自虐と言う揶揄―どこまで通じたかはどうでもいい。
ナールは、人を、万人を、万物を、愛なさい。
それだけをイーギンもギーガも事ある度に意識込め祈る。
アンナがひとり判断で結論を出さないことはわかってる。
アンナが最初、場を変えませんか?と言ったのを、ここで概要
のち、移動しましょう。と言ったイーギンの工作は―功を成す。
「30分後最上階ラウンジでお持て成しさせて頂いて
それから、お返事をさせて頂いてもいいかしら?」
ギーガも、NOでしたら『リーベ・フロッス』社長には別のホテルの紹介をお願いするところ。本日中はありがたい。と促した。
ナールのよくやる手口だ。ソレそっくりそのまま返そう。
そして、別れ際、ジャックがアンナへ花束を差し出した。
「NOでも構いません。貴重なお時間を割いていただいて
嬉しく思ってます。相談をお受け頂いた感謝の気持ち」
この花束は特別な花束。
「貴女のような美しい花です。社長室を飾ってください」
アンナはジャックに甘い声で歌うように寄られて花束を
見た途端明るい表情になって受け取り―うっとりとした。
え 女性なら花束に弱いってこと?
そんなもんじゃないだろ?
いや、そうなのか?
それより、そんな...即効か?
花束を受け取っただけで突然歓喜したようなアンナにギーガたちはその瞬間驚いた。
アンナに無条件に喜ばれたことは予想外に大きい収穫だった。
アンナは社長室に戻り、6人は席を立ってラウンジ移動した。
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