【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

 かんろあめひびきわたるうたげ 自作涅槃長編活劇[100禁]

EMA【222】天才ダンサーの謝罪

2009-09-11 | 3-2 EMA



 EMA【222】 


そんなことをされればより、殴り潰して遣ろうかっ!との思い
に駆られるが、自分の責任もあるのに責められたものではない。

間近に顔を見れば気持ちは激昂するが―話を訊くが先だ。

「顔を上げろ...何の話だ。どうして謝る?そこから説明しろ」

「『SPRING』で...ガイに殴られた。親の言うこと利けって」

「あ―相変わらず話聞かず手が早いな。酔ってたんだろ」

「酔ってたけど...ガイを止めに来たラピスに...聞いた。全部
 俺イーギンが恋人と縁切るのに苦労してるって聞いたから」

椅子に座ったままイーギンはカメリアの肩を軽く蹴った。

「そうだな!それはいつの話だ?確かめたか?名前は!顔は!
 人違いすんなっそれでエマと俺が別れたらお前は英雄か!?」

カメリアはこの前のように何度も殴り蹴られることを覚悟して身構えた。が、イーギンは椅子に普通に座っている。

「 ...誰がお前に手を上げるか。暴力が勿体無い」

「イーギン... 」

「俺が喜ぶだろうとこと密に進める忖度?100年早い。お前は
 俺の命令だけを利く。自分の器にないことするんじゃねえ」

「ごめんなさい...俺の経験では殺風景な女ほど腹黒い、エマは
 どちらかわからなかったけど派手じゃなかったから演技かと」

言った瞬間、わっ!と拳が飛んでくる錯覚に襲われた。

それは錯覚―イーギンはPC画面を向いて黙っていた。

「イーギン... 」

「お前のその経験は確かだ。俺もそう思う」

イーギンはカメリアを笑ったのか自嘲したのか―鼻で笑った。

容姿美麗しか頭を使わない女は喜怒哀楽思考も解り易い。
知識欲強い女は自己評価が高い思考空洞だから扱い易い。
地味な女は自信ない惨めさを売り、センス磨かず不憫を
武器に清楚振舞って計算高い。

だが、ナールならどれもソトガワにしか脳を使っていない同種。

仕事に所有物―5毒を手に入れたら近所と世界に披露して回る。
魅力がなくて周りから愛され100%見て貰ったことがないから。
自分が人にしないから。したことをされているだけ。阿鼻叫喚。

餓飢地獄に嵌る―もっともっと欲しい。見て見て、私を見て。

利害関係で友に寄られるが、ソレ抜きの友に寄られない。
男も然り。執拗盗見、視かん、恐怖行為―男女差はない。

5毒得られないとき、その感情を嘆き歌って偽善者の情と哀れみ
とエセ友情、注目浴びて友も男も、序にお金も得ようと躍起齷齪。

そして、必ず目前に現れて...手に入る。

自分のしたこと、英雄宗教で作られた妄想現象...そのままを。

「エマはそのどれでもない。求めていない。俺がいなくても自分の
 今ここ 甘受を叡智ってる。平たく言えば、今の関係では、俺が
 どうだろうとエマは受容。だから俺は慎重に付き合っていた。今
 エマに、いないなんて考えられない俺ではない。まだそんな関係
 なのに...何をした?更にそれを肯定してくれたじゃないか」

「え... 」

「 ...腹立つ」

「 ...。」

「クリスマスの『シルフォニュワス』のログを観た。俺が来る寸前
 お前はこの前にエマと接触しているがログがない...つまり、この
 部屋に来てエマと会って別れろとか何か豪い発言...言ったか」

静かに言うイーギンに―自分のしたことに猛省して気の引けるカメリアは発声することが出来ず、やっと微かに頷いた。

それを視界に入れてイーギンはカメリアの視線の前、床の上に、カメリアがエマに渡した分厚い封筒をアジして現した―それは、封が切られていなかった。

カメリアは驚いてイーギンを見上げ、イーギンは笑った。

「よくやってくれるよ...そこまで俺を思ってくれたことに
 怒りも通り越し。しかし何故今頃、使用履歴を抹消した」

「 ...今日はイーギンが自分のデスクに来るかもと思い出して」

「それで慌てて弄ったのか。シゴトなら大ミスだ。クルー皆出払う
 とわかりきってる時間にやるから怪しい。それも選りにも選って
 滅多に船に上がって来ないガイに見られるなんて...お前も現場に
 遣えない頭だけ派か?」

「 ...イーギン.......ごめんなさい」

「口謝罪はいい、実行はどうする?」

「え」

「エマはその封を開けてない。だが、お前に酷く傷つけられた
 どうしたら完璧に癒してやれるんだ?俺でなく。お前の行動」

「 ...エマが封を開けてないなんて」

「それがどうした?」

俺...本当に酷いことを言った...詫びても詫び切れない...イーギンは裏切るとか結婚しても離婚するとか...イーギンを不審するよう。

どうしてイーギンを疑わない?






EMAもくじ EMA【223】につづく。





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