【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

かんろあめひびきわたるうたげ 長編涅槃活劇[100禁]

KINGREDDY【156】独眼イール

2010-09-08 | 1-1 KINGREDDY




 KINGREDDY【156】 


ハウヴィルがイール兵に挨拶を返して寝台を覗くとレッディが寝台の中で横になったまま、おはよう。まだ暗い...。と言って起きた。

若いイール兵は着替を済ませて嬉しそうな笑をして、失礼します!ありがとうございました。皇子。と言い、レッディとハウヴィルにそれぞれ一礼して部屋から出て行った。

ハウヴィルがイール兵を見送って―レッディに向き、驚きました。彼に目が...。と感嘆の意を言った。

「俺も驚いた。今朝はふたりでびっくりして、そらもうっ!失った
 目玉が現れたんだから!...てことは戦や事故、生まれつきでも.だ
 手足なくした人も、じじいや俺と寝たらにょきって手足生えて」

「恐らくはそういうことでしょうが... 」

「判ってる、俺はハウヴィルを経由しない病人と寝ない。矢鱈滅法
 誰にでも 万能薬 使ったりしない。奇跡起こす人で有名になる
 ことこそリュディアの裏切りっ!でも、どこまでが可能か試して
 みたくなるよな?じじいは知ってるのだろうか」

「ダメ元であの兵に声掛けてよかった。私はそれだけです」

「俺は皇子近衛が一介のイール兵を知ってたのが不思議だ」

「彼は...戦で勇敢で主力戦士...目を射抜かれて、単眼になったにも
 関わらず訓練重ねて両目あるように的外さなくなったと有名で...
 彼の名を知らないイール以外の兵は、独眼イールと」

「あんな若いのに主力戦士?...そんな話はしなかった」

「癒しの万能薬は事情も聞かない喋らない。それでよいのです」

「しかしっ...そんなに有名なら両目に戻ったと有名になって」

「独眼イールはリュディア軍内だけです。彼と対峙したことのある
 外国兵がいたとしても今後リュディアが戦場無縁なら心配ない話
 それは。彼は功績讃えられて王が治したとなります」

「王が讃える...戦無縁...いいね。彼が生きてる時代は戦無縁」

「彼と皇子は年が近いですから...皇子の時世はそのように」

「そんなこと出来るんだったらとっくにじじいがやってるよな」

「王は王の遣り方。皇子もご自分の遣り方を」

「わからないよそんなの...見つける?見つかる?」

「何事も経験です。積み重ねの中で自分ならこうするが起こります
 ピオーネを解放されたりソランをキヒロに生かされました。既に
 自分なら をされています」

「それは...そうなのか...てか何だ、女の子しか例えがない!」

「他はこれから。先ずは、女の子 が重要事項」

「え?は?」

ハウヴィルはレッディに、幼い子供の掌にも収まるほどの小さな、赤地に黒のリュディア紋章の刺繍された巾着を渡した。

「王から皇子に朝一番渡すよう言われました。中に金属片が入って
 いて王からの伝言が書かれているのですが鉄のような黒いただの
 金属片で何も書かれていません。デアンが読取方法を知るそうで
 内容は皇子の妃の件だそうです」

「はあっ?!妃?」

「正妻である后は皇子に任せるとしてラガットが陽王になったこと
 で同時即位させたいが、陰王だけにそうもいかない、しかし妃は
 ラガットと同時に娶らせる。と仰言ってそれを預けられ」

「ラガットと同時?...ニーハに固執してるんじゃ?」

「陽王后は恋愛で娶ることはできません。王の意向で全て決定
 その方は即位祭のときにラガットの横に座っているそうです」

「い...つのまに...てかラガットのせいで俺が大変なことに... 」

「筋道立てると陽王のせい...お陰様でょうか。そのようですね」

「おいいっ、」

「その中に詳しいことが...至急とのことでした」

「至急...第1妃はラガットのようにじじいの決定に従え?」

突然、部屋の扉が開いて―デアンが現れた。

焦って走ってきたようで、デアンは膝と壁に手をついて下を向いて間に合った。と言いつつはあはあと息を整える。

驚いてレッディが、何だあ!と言い、ハウヴィルがデアンを支えに出て椅子に座らせた。

そして、水差しの水をコップに入れてデアンに差し出した。

「お飲みください。どうなさったのですかそれほどの火急」

デアンは水を受け取って一気に飲み干すと、疲れた...ちょ待って...はあはあ。と言って椅子の中で崩れ込んだ。

レッディとハウヴィルはデアンに注目して落ち着くのを待った。






「はあっ?!...なん...で?」

息を吹き返したようにすっと姿勢を正したデアンは、アドシアが帰った。と言って、今度はレッディが驚愕の体で慌てる。

「俺、やばいこと言った?!俺じゃやっぱり、」

「お前とアドシアの話はアドシアから聞いた。やばいこと言ったん
 じゃなくて反対だ。リュディアに鬱陶しいの祓ったんだよ。俺が
 来る前にアドシアんとこ行って、行き違いになるんじゃないかと
 思って思いっきり走った。今彼女と話してきた」






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