【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

 かんろあめひびきわたるうたげ 自作涅槃長編活劇[100禁]

KEITH【139】自分のケリ付ける

2009-12-07 | 4-0 KEITH




 KEITH【139】 


「俺が罠に嵌らず、アレキサンドルの事情全て無視してルナルーを
 妻として普通に接していれば、ルナルーも明日の見えない不安に
 苛まれることなく、妹たちのように、明るく振舞っていただろう
 これまでのルナルーは俺の責任、彼女は、俺を頼るしかなかった
 俺はユリウスやアランに助けられているのにルナルーにはいない
 パールの話を聞きながら...そう思っていた。確信した」

「キース... 」

「パールが失った人のように俺も失うところだった と思った」

「 ...。」

「農場拡大も管理も何を作ろうとも精製しようとも人の数もそんな
 ものはアレキサンドルのしたいように動く。その真意については
 俺は100年生きてもわからないかもしれないから。しかし家族は
 これまで考えたことがなかったから理解が届かなかった...これは
 撤回しようと...戻って来た」

「そうか。では、親父は?ジャーメイン家の土地は?」

「父親も先長いわけではない。アレキサンドルが攻めるというなら
 それに便乗して強制的にあの土地をうちのものに。だが、管理は
 親父と妹たちに任せる。農夫はうちから派遣...俺が擁護する」

「キース...そうか。解った」

「ルナルーは農夫たちに感謝されているだろうか」

「ああ。奥様が悪魔を払ってくれたと言っていた」

「そうか。」






俺はルナルーの部屋に行った。

扉をノックして中から返事はしたが―なかなか開かない。

俺は扉前で暫く待った。

メイドたちは西棟に居ては安心なので普段、鍵など締めない。

人の部屋にはノックして直ぐに扉を開けて中に入る。

ノックの音がして返事をしたのに誰も入って来ないので―ルナルーは不思議に思って扉を開けた。

そこにいた俺に驚いて―固まった。

昨日から晴れることなく長く泣いていたのか目が赤く晴れていた。

俺はルナルーに断りなく中に入って―背にした扉を閉めた。

そして直ぐに抱きしめた。

「あ... 」

「よくやってくれた。ありがとう」

少し戸惑ったが―ルナルーは俺の胸に顔を埋めて来た。

アランに話したように謝罪したい気持ちで一杯だった。

ルナルーも抜け出したい現実があったなら取る方法があったはず、それを等閑にしていたのだから双方で同罪だ。

それにそんな話したところで―そこはルナルーには意識の外。

ルナルーは俺の妻だ。

双方で過去を謝罪して詰めるよりもステキなことが出来る。

これまでのことはなかったかのように生活の中で溶け行く。

ルナルーは最初から俺に歩み寄る気持ちは沢山あった。

それを避けていたのは俺.......俺が変わればいいだけだ。

「俺は離婚する気はない。君が愛おしくて...弱く恐れていた」

「え... 」

「組織に懐柔されるままだった...もう傀儡は辞めた
 だからここに来た...しかし、遅かっただろうか?」

ルナルーは顔を上げて俺を見詰めて首を横に降った。

「そんなこと...います、ここに」

よかった―間に合った。

意地でもここから動かないでいてくれたことに―感謝する。

そんな君を大切にしないなんて―出来ようもない。

一度、樽の上に乗ってバランス崩れ、必死で左右に意識向けた。

そして、疲れて―気づいた。

気づいたので樽から降りた。

俺は自分の正直に願う平穏を―手に入れた。

「よかった」

ルナルーにキスをした。

結婚式の日の、誓いのキスと同じ香がした。






KEITHもくじ KEITH【140】につづく。





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