【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

 かんろあめひびきわたるうたげ 自作涅槃長編活劇[100禁]

EMA【252】ルーラ女王様

2009-09-12 | 3-2 EMA



 EMA【252】 


喫茶ホールと言われた場所は『SPRING』の中のオープンキッチンに隣接するパーティションで仕切られたフロア。

そこはテーブルと椅子ではなく応接室のようなソファとささやかな珈琲テーブルが並べられて壁に大きなテレビが点いて音量は僅かのデザイナイズされた寛げる空間。

騒がしくなった『SPRING』の隣というのにとても静かで、食事を終った人やランチ以外の休憩やランチ序の仕事など食事ではない人たちで占める場所だけに今はまだ人が疎ら。

ふたりで腰を落ち着けて話をしていると突然、見つけた!と若い男の人の声が響いて―彼はルーラに走り寄って来た。

ルーラは彼の顔を見るなり、ダメ。1時まで話し掛けないで。と言って少しイラッとした風にソッポを向いた。

「ソコを何とか。5分で済む。副社長の命令なんだ」

「社長だろうが副社長だろうが規則は規則」

「レオルドでも?」

言われてルーラの表情が微妙に変化した。が、直ぐに治って、それが何?と怒った風に言った。

「ルーラはレオルドには甘いじゃないか。その使いなのに」

「貴方と喋ってロスした休憩時間を返して。あっち行って」

「だって帰れない...じゃあ一緒に休憩する」

言ってルーラの横に座った男性にルーラは怒り露に彼の頭を殴って追い払い、追い払われた彼は、痛い。と文句を言いながら少し離れたソファに座り込んでこっちを見ていた―子栗鼠のよう。

エマは可笑しくてくすくすと笑い出した。

「あれで有能大卒エリート。笑うでしょ?肩書有能実際無能の
 若いのうちでも結構いるのよね。こっそり待たれてしっとり
 出て行く社員よりあんな風に言ってくる社員は可愛気あるか」

こちらを伺う彼を無視して話し出したルーラにエマは笑えた。

「長いんですよね...資料室。社員の皆が知ってる存在ですね」

「え、私っ?...まあそうかも。それでヨメに行けとか言われるの
 あの子栗鼠社員みたいなのが陰でそう言う。もっと融通の利く
 美女をカウンターに置けって。けど社長が気に入ってくれてる
 から万事OK。社長が許可してるのに誰が刃向かえるかってね?
 て、私、社長と直に会ったことないんだけど。うふふ」

「えっルーラのように地位高くても会ったことないんですか?」

「地位?!高くないわよ。地位が高いのは表部隊の人だけよ」

「それは表に出るから地位が高く見える人たち でしょう?」

「あら言うわ?地位って何?給料なら負けないけど。年だから」

「あ、ふふ。」

ルーラは気さくに自分プライベートを話して来てエマにも訊いて、訊かれたエマはイーギンと取り決めた事柄を惜しみなく話して―ルーラとはかなり詳しく知り合って打ち解けあえた。

そして、1時ね、戻ろ?とルーラが言ったときに思い出して―見れば近くに潜んでルーラを待っていた子栗鼠は3に増えていた。

ルーラはエマに、目を合わせちゃダメ。と小声で言い、彼らに知らんぷりして颯爽と立って歩く。

ルーラとエマの後ろを彼らが連衡されるようについて来る。

「これで資料室の扉前には10ほどが溜ってたりするの
 あ―こんな風に男にモテたらいいのに!むかつくわ」

ルーラの規則厳守の意地はそれが原因のようだった。






資料室前まで来ると本当に若い男性社員ばかり10ほど廊下の長椅子で待っていて―ルーラを目にするなり姿勢を正した。

まるで女王様がいらしたので敬礼の兵隊―エマはウけて笑った。

ルーラの、こんな風にモテたら はわかる気がした―楽しそう。

「彼らが私に機嫌取るのは処理順を早めて欲しいから。むかつく
 けど気分いいわ。けど、イラッとする。そうでしょ?胡麻すり
 下心見え見え露骨あんな態度されて。どこかの小娘に色気使う
 より品が無いわ」

「処理順はどうするんですか?これでは誰が先に来たのか」

「私は誰も贔屓してあげないの。着た順より運が好き」

「運?」

「見てて」

ルーラとエマは周りで盛る男たちを無視して会話をしながら資料室に近付いて―ルーラが扉の鍵を開けた。

彼らは上質の『リーベ・フロッス』スーツを纏った紳士らしく礼儀正しくルーラとエマに続いてひとりずつ中に入って来た。

そして、ルーラとエマがカウンターに入ると、10人以上いる彼らはカウンターにずらりと横に並んだ。

何をするのか見ているとルーラが、どうしようかな。と言いながらエマを見て、じゃあ今日は名前がEからの順。と言い、すると彼らはお互いの名札を見ながらアルファベッドのEから順に並び出し、そして、ルーラの受付が始められた。

エマは見ていて呆気に取られて、凄い...。と感心した。






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