【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

 かんろあめひびきわたるうたげ 自作涅槃長編活劇[100禁]

ALLION【109】エヴァとアリオンの決定

2010-05-06 | 4-1 ALLION




 ALLION【109】 


「あらゆる手で...俺もユリウスも遣って来たそれを、お前が
 横からかっさらった。忠告した。やめとけと。苦労味わえ」

「 ...それも、僕から奪い返す言葉か?」

「けっ、言ってろよ、事実を言ってるだけだ。そんなに甘かねえん
 だよ。好きだ嫌いだ次元じゃねえ。こいつにこの世の慣習の信用
 とか約束とか通用しねえ。お前は液体の水を捕まえられるのか?
 空気を手に出来るか?そいつらは人の手の中に大人しくしてない
 逃したくないなら水か空気と友だちになるって方法しかねえな?
 獲得のヒントだ、今のは。意味わかったら少しは続くだろう」

「イーギン... 」

「フフ。勢いいいと直ぐにへばる。クリスティーナには信用や約束
 以上に期待も希望も持たないことだ。今日嬉しいことを言っても
 明日は違う。愛しているなんて言葉は易く信じるな。今横に居る
 だけでありがたいと思え。そういうコ。判ったな」

真面目に聞くアリオンの横でエヴァは、ぷううっ。と言った。

「それとクリスティーナ。お前にも忠告しておく。俺もサファイア
 も関係はどうあろうと男だ。一緒に暮らすアリオンも男。俺が何
 を言いたいのか色気に縁のないお前は判らないんだろうが、その
 気がないんだったらさっきみたいな服してアリオンの前に出るな
 いいな?あれではお行儀の悪いただのお子様」

「うっわ、おこ...っ!」

「そうだろうが。男の前で密室であんな格好は襲って下さい。もし
 肉欲の塊だったら...まあそんときはお前がそいつをヤってしまう
 んだが...そういうこっちゃなく」

「判ってるわよ!お行儀よくねっ、はいはい!」

「男を生殺しにすんなって言ってんの」

アリオンはそんな話を平然とするふたりを交互に見た。

イーギンは次にエヴァからSPを借りてサファイアに渡した。

サファイアは自分のSPから全データをエヴァのSPにコピーした。

「クルー全員と繋がれるようにデータ入れた
 仕事で使えるようにしたよ『シシィ』の」

「あ...ありがとう」

それはブリッジの地球とザーイン星の全情報にアクセス出来る。

「お前の部屋のPCも書類も直ぐ使えるように用意しておく。お前
 の資産は8兆の平。毎年その平から出る分全て税として年俸から
 天引していた。カードは8兆の1%。取り敢えずそれで身の回り
 揃えろ。あ、お前の微々たる貯金は依頼されてた土地買収加算中
 買収交渉はどうする?」

「え...それはまだいい。ずっと後で。そのまま管理お願いする」

「そうか。ではもう月1で会うことないが、用があったら連絡
 いいな?俺じゃなくてもパイでもシドでも...ユリウスが一番」

「ユリウス...ふふ」

「俺も腹括った、四の五の言わずにのログをユリウスに見せる」

「そうね、そうして」

そして、イーギンはアリオンに向いた。

「そのうちユリウスが会いに来るだろう」

「ああ、僕も会いたい」

「フフ、強いよな?クリスティーナを抱えたら」

イーギンは笑って―サファイアを伴って出て行った。






アリオンの部屋で―改めてアリオンとエヴァはふたりになった。

食べかけていたサンドウッチは既に端が乾燥しはじめていた。

エヴァが再び手にしたとき、硬く感じた。

「もう美味しくないだろう?夜中だけど食べに行こうか」

「え?...そこまでいいわよ。お腹が空いてたら美味しい」

エヴァは今まで自分で不具合だったことの何もかもが今一気に片付いて急激安堵―その安堵と共に自分の身体の現実、お腹が減った。に気付いて無意識にそれを手にしていた。

アリオンがエヴァに珈琲を淹れて来た。

「 ...アリオンは?」

「僕はいいよ、今夜は飲みすぎた」

アリオンは当たり前のようにエヴァの横に着て座った。

「ごめんなさい...今夜は相当疲れてるのに、それに私が貴方を無理
 矢理誘ったあの夜、翌日の代わりに今夜の公演をカレフに聞いて
 アリオンが珍しくティムを差し置いて承諾って不思議と...意味が
 判ったわ?本当にごめんなさい!」

「違う、恩を着せたいから言ったんじゃない。そう言われたら僕は
 代償のために君を繋いだみたいだ、そうじゃないから、君をどう
 しても誘いたかったといったのは...伝わってない?」

少し怒った風だった。






ALLIONもくじ ALLION【110】につづく。





コメント   この記事についてブログを書く
« ALLION【108】返品受け付ける | トップ | ALLION【110】ふたりで合奏 »

コメントを投稿