【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

 かんろあめひびきわたるうたげ 自作涅槃長編活劇[100禁]

KEITH【10】レイとモーリス

2009-12-02 | 4-0 KEITH




 KEITH【10】 


俺が、わかった。と言ったとき、俺の前をキラッと光って何かが通り過ぎて行った。

え?!―気を取られて通り過ぎて消えたそれを目で追った。

その俺をシータが笑う。

「やっと出て来た、それは光源。隣も下も廊下も固体で出る
 はずだが、どうやらお前にはどいつもシャイだったようだ」

「 ...それは教えてくれるのか?」

「見たものは事実だ?」

「 ...ああ...しかし光源って、」

「この船のどこに照明がある?」

言われて見渡せば...思い出しても気にも留めていなかった。

これでは...巡る他の事で手一杯を思い知らされた気がする。

「今のは船の照明。そこら辺に浮遊しているとか、止まってるとか
 色々。数多いから今のように一個見れるのは珍しいが、そのうち
 目が慣れたら個別に光って見える。妖精が光って飛んでるとでも
 思えばいい。船外にも浮遊していてそいつらのことは月と言って
 いる。あいつらはばらばらに浮遊しているが月だ。月でいい。で
 あの天井の真っ暗から上 は、あいつらはいないってことだから
 あいつらも近寄れば飛ばされてるってことだ...異次元に」

シータの説明のままに俺は上を見上げた。

「 ...ああ...理解する」

「理解しようと頑張ってるな?うん、頑張れ
 見えたものは信じようが信じまいが事実だ」

「 ...ああ」

厨房は途轍もなく広く、映画やテレビで目にしたことのある王室のシステムホールとでも言うほどの設えと華美な装飾。

俺は意識的に目に映ったそれを考えた。

そう言えば、さっきカウンター越に見えた食堂『SPRING』に綺麗なテーブルは見えたが、椅子が疎らだったような...けっこうな数のクルーがいて賑わっていた。

しかも、このシータの時代錯誤のような服装やフツウの服装やスーツ...ばらばらな服。

そうだ、それにまただ。

クルー皆がモデルのように綺麗な顔とルックス...何だ?...実は映画か何かの撮影とか?なんだここは...?!

本当にホンモノの海賊船の中なのか?!

と思っても『SPRING』に振り返るのはやめておいた。

またシータにあの世に連れて行かれそうだ。

暫くは現実世界だけでも昇華に時間を取りたい。

今は素直に...そう思う。

俺のそれをまたシータが察知したのか俺の顔を見て、そう深く考えるな。直ぐには答は出ない。と言った。

それは、訊いても一言では返事出来ないってことか?

厨房を見ればまた綺麗な男たちが現れて厨房見学をしているような俺とシータに目をくれるもなく忙しく動いている。

シータが奥の方を顔で示した。

そこで動いていた男5人が、ミ・ロアだと言った。

クルーと5人のミ・ロアは服装同じで見分けが付かない。

いや...ミ・ロア5人は綺麗ではない逞しいフツウの人間。

それが違う。放つ雰囲気...?

そう言えば、ミ・ロアなら極悪罪人ということだ...った。

「よう、お前が新入りのキースか?」

突然、声を掛けられた―銀の長い髪に眼力のあるグレイの瞳で綺麗な顔、しかし、強面備えたような巨躯男。

「はい」

咄嗟のせいか、威勢好く返事をした。

「俺がこの船でクルーの生活仕切るレイ
 んで、こいつが厨房責任者、モーリス

モーリスはレイに名指しをされて寄ってきた。

レイが生活全部でモーリスが厨房...レイがモーリスの上司か。

モーリスを見て挨拶をすると、モーリスは俺の顔を見詰めた。

モーリスという男もまた華を持つ綺麗な男...。

金髪に碧眼...一体こいつら...これが撮影ならそう言え。

「キース、お前、ここに居付くのか?」

「 ...訳がわからない」

モーリスに訊かれて俺は思わずそのままが突いて出た。

それをレイとモーリスは笑った。






KEITHもくじ KEITH【11】につづく。





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