EMA【86】
「デパートのオーナーはマルクス大好きだ。たかが一介社員の
自宅を成金サ・ナールが気にするか。それで、願い事とは?」
イーギンは、それだ。と言って身を乗り出した。
「俺はガキの頃からお前に虐待を受けた。返事はイエスだ」
セレスタインはくくと笑う。
「お前の科白は聞き飽きた。いい加減忘れれば良いのに」
「難事潤滑遂行はお前に虐待受けたお蔭だ」
「余程厄介事のようだな」
「恐らく未だ失恋から癒えていないだろう今の船長に怖い話だ」
「あはは...遠慮したくなる話だな。そこに触るのか?」
「触るというより障る... 」
イーギンはltをアジしてカナンを開き、先程ローグとテジとの会話を観せた。
見終わったセレスタインは手にしていたスコッチのグラスをテーブルに置いて―腕を組んで暫く考え込んだ。
「 ...要するに俺にこの厄介なラキスを紹介する友役をしろと」
「ラキスは省いて構わない。お前が直接 船長とディーライと話し
合えばいい?こっちはお前を介して話を進めるよ。ディーライは
喜んで賛成だろうが、問題は船長。説得はお前。俺はこの企画に
直接関わらない、嬉しい承諾を待つのみ」
「いくら俺でもそれが出来るとは断言しかねる」
「しかし、お前は俺の頼みは断らない」
「なあ...多分、船長が承諾しても船長の見返り要求が...
血祭の日、お前に倍返しされる。それでもいいなら」
「それはお前が引き受けろ」
「武芸好きではない俺を酷い目に遭わせたところで面白くない
俺が身代わりになったところで理由こじつけ で矛先はお前」
「間違えんなよ、そうならないように向けろという願い事だ」
「そうは言ってもこと恋愛事情だ、鬱陶しいと一蹴されて終る
船長が興味持って耳傾ける宝玉を提示しないと話も聞かない」
「持ってないのかよ?何かあるだろう?俺は最近、船長と
会ってないから、何で船長が釣れるのか全くわからない」
「お前の虐待計画で釣れるのは確実だ」
「それを脇に置いて考えろっ!」
「 ...。」
「 ...。」
「 ...なあ、イーギン」
「何だ?」
「こういうパーティーのある度に船長を誘うのはどうだ?」
「王がお忍びで市井の宴会にってことか?」
船長は髪を切ってユリウス名でマフィアだけでなくラキスもやる。
王は一先ず棚上げにして、俺がラキスのユリウスをお前に紹介するカタチを取る、お前は『リーベ・フロッス』の関わるパーティーやお前が出席するものに毎回ラキスのユリウスを誘う。
今の船長は船にいなくて王とラキスとマフィアの方々に回っていてパーティー誘ってもヒマを作る気もない。
シゴトばかりしているからベティの失恋の傷は癒えるどころか腐り切ってるそこにそんな話ではきっと半殺しにされる。
しかし、お前に執拗に誘われれば、嬉しくないではなくなる、気晴らしにでも...いつか必ず乗る。
「乗る?」
先ずパーティー参加に乗る だ。ラキス・ブライダルの話はそのずっと後。大切は船長がしつこく未練持ってる失恋から離れるようし向けることだ。
その間に城常任のディーライたちと話を進める。ディーライを味方に付ければ、城のことは船長は反抗しない。
「誰がディーライと進める?王と仲介のラキスがユリウスだろ」
あ―もとい、ユリウスには『リーベ・フロッス』ステータスとして社長とラキスの親交を社員が知るならより活性化に値するから船長と一緒に居たいんだ。とかなんとか自分で船長に媚びろ。
兎角、恋愛で機嫌取るならお前が動く方がいい。紹介するラキスはアクアがいいかな。最近ラキスとしてリッツについて回ってる。
「アクアか...少し若造な気もするが」
「他のクルーは手一杯。船から引き摺り下ろすなら色々だが、釣る
餌に手間掛かる。1年猶予、その間 執拗に働きかけるなら少し
は動く...船長の1年がどれほどかわからんがな」
「 ...そうだな。わかった」
「さて、日取りは後に連絡するとして、泊まって行くだろ?
たまには極フツウの家庭の朝ごはんでも食べて出勤しては」
イーギンは家庭を持つクルーの誰からも毎度そう言われる。
セレスタインはイーギンが今もそうだと思っている。
イーギンは一瞬詰まったが、否定出来ず―その夜は泊まった。
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