【甘露雨響宴】 The idle ultimate weapon

 かんろあめひびきわたるうたげ 自作涅槃長編活劇[100禁]

KEITH【106】援護射撃

2009-12-06 | 4-0 KEITH




 KEITH【106】 


セレモニーが始まろうとしたとき、ルナルーの方から俺を探して寄って来て、夫人然として真横に立った。

流石にしっかりしていると言うか...受身のみで通すわけじゃいんだ?と感じて安堵した。

セレモニーが終わって柩が皆の前から消えて―車に向かう道すがら車まで距離がある。

完全受身でないことは判ったが、体の接触は違う は判る。

自分から俺の腕に巻き付くまではしないので、再びルナルーの手を取って俺の腕に巻き付けた。

そのとき、痛っ。とルナルーが小さく言った。

ルナルーは俺の腕に巻き付けた手の指先を反対の手でハンカチを持って押さえて―ハンカチに赤色。

今日も無言無視を通すつもりだったが、そうはいかなくなった。

例え、大したことではなくても耳と目は機能していて無視は―咄嗟に出来なかった。

どうした?と訊いた。

横で、アランがびっくりしているのが判った。

次いで、アランが、どうかしたのか?と訊いて来て俺の視線先、ルナルーの握っている白いハンカチに、指先の怪我にしては結構な量の血が付いていたのを目にしてまた驚いた。

ルナルーは、柩に添えるバラを配ったり頂いたりしている時に刺が刺さったようです。大丈夫です。と言って指先を隠した。

バラの棘でこれだけの血が出るか?と思って隠したがる手を、見せろ。と多少強く言ってその指先を見ると総レースの黒手袋も一緒に刃物で切られたように奥も長さも1センチほど割れていた。

「いつだ?何故言わない?!」

驚いて―その勢いでルナルーを責めるように発してしまった。

バラを配っていたのは俺から離れていて夫人連中に取り巻かれていたとき...そのときからハンカチで押さえていてその量...。

そこまで切れて痛くないのか?

俺が少し呆然と仕掛けた間にアランはさっと傷の手当てをした。

「これくらいなら縫わなくてもこのテープを毎日
 変えるだけで数日で塞がる。しかし、水厳禁だ」

「一旦血が止まっていたが、俺が触って血が出たんだな」

「キース」

ルナルーに話し掛けたが、アランが遮って目配せで右を差した。

そして、見てはダメだ。と言った。

「何?」

「取り敢えず、そこにいてこっち見てるってことだ。しかし
 馬鹿だなあ。犯人は直ぐ割れるのに。何遣る?...帰ろうか」

「確かに故意的だな...しかし、女性が?」

「ジョージアたって狙撃手。十分怖い」

「はは、そうだな」






帰りの車内でアランはトランクから取り出したLtを開いて、ログを観て直ぐ、こいつかあ。と言た。

そして情報纏まってから話す。と言い、何やら操作を始めた。

俺は呼応しなかったので殆ど独り言だ。

カトは、奥様が襲われた事態に驚いて沢山アランに話し掛けて―黙ってろ。前見て運転しろ。と怒られた。

暫くしてアランが口を開いた。

「結論から言うと、襲われたとか『Golden wheat』への敵対視とか
 じゃなくて単純な意地悪だ。キースと結婚したかった女性の嫉妬
 と思っていい。今度会ったときに顔色が変わっても難だから誰か
 は言わないでおく。制裁は俺が遣るからルナルーは早く忘れる」

ルナルーは小さい声で儚げに はい。と返事をした。

横で見て痛々しかったが、俺は距離を保ってそれ以上は寄らない。

アランが何を言わんとしていたか判った気がした。

多分...ルナルーを傷つけた女性はエリの友だちで、貴女がキースと結婚したからエリは!と言いたかったのだ。

それが、セーニィの手下でなければいいが。とふと過ぎった。

あのとき、セーニィは俺に抱きついて...工作なら素晴らしく完璧。

それはないだろ...幾ら何でも...そんなコじゃない。...はず。

でもまあ...これで俺と結婚していればいつどんな目に遭うかわからない、怖い、と思って離婚を考えてくれれば、幸いか...。

と言うことは、元をたどれば、アレキサンドルだったりして...。






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