FIND【122】
セイはイーギンを助けに行こうと思ってロックを外し車外に出た。
その途端大きな手に軽く捕まれて宙に身体が浮いた。
「放せ―ッ!」
暴れるセイだが、あっけなく両手両足を紐で縛られて口を塞がれて―大きな力の中に押さえ込まれた。
複数の男の肉体を嬲る暴行の音と吐血していると思われる
痛ましい呻声がセイの耳に届き、その光景が目に焼きつく。
押さえ込まれながら口を鎖されてセイは力の限り暴れた。
「くそっ、手加減しろやっ―!!」
イーギンは自分を殴り蹴り続けるパールたちに嬲られながらヘタレな言葉を吐いている。
「血くらい出せっ、折角なのに!」
「んな問題かっ!」
「血とか青痣ないと可哀相って言って貰えないよ」
「くそっ、」
「力抜けって!防御したら時間かかるだろうがっ!」
「あ―もぅ、死ぬ... 」
「死ぬな!」
「ざけ...ぁ... 」
イーギンはぐったりとその場に倒れ込んだ。
オレンジ色の灯の中でイーギンが血を噴出して肌も衣服も血塗れになっていることがセイに見える。
セイは絶叫して押さえ込まれたままに暴れた。
『おじさん!!おじさんっ!』
セイは気を失っているイーギンの顔に口を鎖されたまま叫ぶ。
「うるせえガキっ!騒ぐな。死んじゃいねえよ
お前のねーちゃんが悪いんだよ、観念しろや」
黒いスーツのパールがセイに凄んだ。
「なあ?お前も本当はこのおじさんみたいな目に遭うんだぜ」
「な...ボクが何を?!」
「人を騙して金取っちゃなんない。やってたろ?」
「! ...だ、」
「それをするには俺の許可が要るんだよ?
ねーちゃんも無届。こいつは客。客も罪」
「あ...あ... 」
「わかったか、坊主」
う...頭痛え...腹痛え...てか、全身。
痛みで頭朦朧中、イーギンは悪態つきながら目を覚ました。
「気がついたか?」
イーギンの目前にパール、後ろに黒服のクルーが7人いた。
手足を縛られて横にされた足元にはセイが同じように縛られて口は解放されて大人しく座っていた。
「坊主が姉ちゃんに連絡した。とっとと戻って来るだろ」
パールはイーギンに笑って言った。
イーギンはやっと絞って、ここは?と訊いた。
「こいつらの家」
玄関もキッチンもリビングも一緒のワンフロア。
奥に扉があったが、作りも素材も安っぽく如何にも最低限生活
の風景―最低必需品と思われる道具と古い家具以外、何もない。
突然扉が勢いよく開いて慌てた形相のサキが現れて悲鳴あげた。
そのサキをクルーが押さえ込んでイーギンの目前に投げ込んだ。
「! ...あ、なた、リオン!?!な、なんでっ?!」
イーギンが横になって口から血を流したまま怒りの顔で笑う。
「お前、クリス...チャン...がバックか?ふざけんな」
「え...どういう... 」
サキは事態が掴めず、怖いと思いながらもイーギンを見詰めた。
「お嬢ちゃん、説明してやろう」
言いながらパールはイーギンの腹を一発蹴り上げた。
う...!
鳩尾にストレートに入ったそれに甚く仰け反って呻き、驚いたセイがイーギンを庇うように近寄った。
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