どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設15年目を疾走中。

自薦ポエム⑮ 『綿花とゴスペル』

2020-07-05 00:36:00 | ポエム

ほんとうに おまえは綿なのか
ルイジアナ州の炎天下で
多くの奴隷を苦しめたコットンボール
摘んでも摘んでも 終わりのない
綿花の元が おまえなのか
 
白から黄色へ 一日かぎりの綿の花
まるで奴隷が見る 短い夢のよう
おまえの美しさは 苦しみとの引き換え
来る日も来る日も碧空がのしかかり
目覚めるたびに 一面の綿ぼこり
 
純白の花は 天のしずく
愛らしさは 脆弱さのあかし
生まれたての命だけにさずけられる
侵しがたい領域
時空を超えて ゴスペルが聴こえないか
 
コットンプランテーションは 植民地の象徴
東印度会社を支えた戦略物質か
コットンベルトは アメリカ南部の欲望地帯
安く作らせ高く売る
奴隷の汗と血を運ぶ 搾取ルート
 
ああ マハトマ・ガンジーよ
そしてエイブラハム・リンカーンよ
あなたたちも 白い花に心動かされ
コットンボールがもたらす厄災を
命賭けて 阻止したのか
 
渦中にあっては 苛烈なことも
時を経れば 記憶さえ薄れる
ファッションだスタイルだと浮かれる者たちよ
ついに綿花の白い花びらに 
瞠目する日が 来たようだ

 

(『綿花とゴスペル』2013/11/16より再掲)


コメント   この記事についてブログを書く
« 自薦ポエム⑭ 『鬱陶しいほど... | トップ | どうぶつ・ティータイム(262... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ポエム」カテゴリの最新記事