どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (21)

2006-04-06 01:07:11 | 連載小説
 その夜のカミナリは、いったん去ったかに見えたが、夜半になって再び舞い戻ってきた。まれにみる規模の界雷であった。  おれとミナコさんは、またも電燈を消して、夏掛け布団を頭からかぶった。  そうやって二人で作った暗がりに潜んでいると、誕生の秘密に出会えるような不思議な感覚に包まれる。  退行催眠とは、このようにして導かれるものかもしれないと、おれは思った。暗がりの質は違っても、被験者をその中に誘導し . . . 本文を読む
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