距離:23K 一宮寺 … 屋島寺 … ささや旅館 (2)
観光客用のお店を見つけたとき、その数軒手前に小さなおうどんやさんを見
つけました。「優曇華(うどんげ)」というお店でした。
1階は10人も入ればいっぱいになる小さなお店です。ウインドウには雑誌に紹
介されている記事が飾られていて、店の前には緋毛氈の掛かった床几があり
ました。席の空くのを待つ間、床几でリュックを下ろしました。お味はまあまあ
というところでした。
店を出て床几で身支度を整えていると、外人?が数人(2階から降りてきたら
しい)出てきました。その人たちは不思議そうに私たちの服装を見つめてい
ました。
そのうちの一人が説明を始めました。「お遍路さんと言って……」と。彼が話
しかけてきました。彼らはハワイからの観光団でした。彼はハワイ2世で、両
親は四国の出身で、真言宗。自分は数年前、自動車遍路をしたことがある事
など、少しアクセントの違いはあるものの流暢な日本語で話しました。
栗林公園が観光のコースで、昼食にうどんを食べていたようでした。両親が日
本人の二世ということは日本人なのに、外人のように感じるのは、育った環境、
食べ物の違いだろうか。不思議!不思議!
主人が「戦時中は大変でしたね?」と話しかけましたが「… …」苦笑いして
いました。思い出したくないことなんでしょう。今は日本に観光に来られる幸
せな生活です。どうか貴方たちの出自である日本を楽しんで帰ってくださいと
祈りました。
コスモスが綺麗に咲き、疲れている私を励ましてくれました。うどんを食べた
からか、暑さからか、無性に冷たいものがほしくなりました。ミニスーパーで、
アイスも中を一つ買いました。お店の方が「お接待です」と栄養ドリンクを1
本づつくださいました。100円の買い物をしただけなのにと、申し訳ない気
がしました。でもいただいた栄養ドリンクで、又頑張れる気がして嬉しかった
です。
「ケンタッキーのおじさん」が見えたら、その角を曲がるようにと教えられて
いたのに、もう見えても良い時間だと思うのに、なかなか見当たりません。丁
度、車のディーラーでお客様をおくりだしていた人が居たので、道を訊ねまし
た。地図を見た彼は「一筋道が違っている。まだまだ先である」と私たちに告
げました。
やっと見つけた角を曲がった反対側に大きな総合運動場がありましたので、ト
イレ休憩をしました。地図を見れば目的地の屋島寺を頂点として三角形を描い
たら、今の道と反対側の一辺に今夜の宿「ささや」があることがわかりました。
主人はそこに荷物を預けてから登ろうといい、もうすぐのはずといいます。私
も計画したときはそうしようと思っていましたが、出発時間が大幅に遅れてい
る今、私の感はそれは無理と言っています。私は「駄目!このまま行こう」と
主張しました。
しかしこの道は辛かったです。道は綺麗ですが、のぼりがきついのです。登れ
ども登れども着かないのです。しかし、地元の人のウォーキングコースになっ
ているらしく、、犬を連れた人や、荷物を持たない人たちが私をどんどん追い
抜いていきます。一歩一歩踏みしめるように登りながら「2時間のロスが無け
れば、荷物を預けて登れたのに…」帰らぬ時間を悔やんでいました。
後からご夫婦が登ってこられました。ご主人がリュックを背負って、奥様の背
に荷物は無い。又私の心の恨みが始まりました。「いいな~、あの奥さんは、
旦那さんが荷物を背負ってくださって!」。このご夫婦と話していると、同じ
宿ということが判り、今夜の宿を案内してくださったのです。この方たちの案
内なくしては、暗くなっての宿探しは難儀したことでしょう。後で知ることにな
るが、ご夫婦は早くに着いて荷物を宿に預けて登ってこられたのでした。やっ
との思いで着いた第84番 屋島寺 は夕方のこととて、人影もまばらでした。