カラー 年の暮れから寒さの中1本だけ咲いている
白い塊が目に入り 近づいてみると 雑草と呼ばれる花の種が
綿毛に守られて子孫繁栄に飛び立とうとしている
春になると又草抜きで苦労するのはわかっていても
刈り取るには忍びなくそのままにしておいた
今日は月参りの日だった。何時もなら「星祭のお札(節分の厄除けのお札)」を持ってきてくれるのに、出てこないので私は聞いた。「大奥様が正月に亡くなられて、全て大奥様が切り盛りなさっていたので、後を継がれたご住職ご夫妻もまだ色々と戸惑っておられます。それで郵送と言う形を取られるようです」
「えっつ!」二の句が継げないとはこの事だろうか、私は信じられない思いで、ぽかんとしていた。私はどんな顔をしていたろうか。
彼女と私は、菩提寺の大黒さん(奥さん)と檀家と言う関係に過ぎない。お寺のことを1人切り盛りしていた彼女は面倒見の良い、男っぽい人だと思う。6年ほど前に入院してから、痩せたとは思うけれど、元気にしておられたから、そんなに進行しているとは思わなかった。
通夜も葬儀も内々で、香典も辞退だったようです。でも息子さんの読経で彼岸に旅立たれたのです。しかし72歳は一寸早すぎましたよ。今の時点で私は彼女より2年長く生きていることになる。
檀家総代の娘さんで、私より1年後に嫁いで来られた。1人息子さん(今の住職)と私の次男は一日違いの誕生でした。長いお付き合いだから、何くれと便宜を図っていただいた。
私は彼女の笑顔しか知らない。最後に会ったのは去年の秋の彼岸の施餓鬼の時だった。3ヶ月後に彼岸に旅立つなんて誰が考えただろう。
春の彼岸の施餓鬼の時に「お寺での葬式」について聞いておきたいと思っていた。
電話で聞くほど切羽詰る事無く、何気なく立ち話で聞いておきたいと思っていた。
年老いてからの「さよなら」は心をこめたものでなければならないと言う言葉を実感した。秋のお彼岸の最後の「さよなら」は又会う日までの軽い「さよなら」だった。でももう二度と彼女に「さよなら」をいう事もない。
周りから1人又1人と消えていく。この寂しさを私は後何度経験するのだろう。出来ることなら、皆でもう少し、この世に留まりたいのだが…。