ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

優しいおとな

2011年04月08日 | 読みました

                    我家の「ムスカリ」 2色


今日は一日中雨が降っていました。折角満開に近い「さくら」が一寸可哀相な気も
します。


          優しいおとな     桐野夏生

桐野さんの本は割りと沢山読んでいる。でもこの頃の私は題名ぐらいは覚えている
が、内容はすぐ忘れてしまいます。それでもめげずに読み続けます。本を読んで、今
まで知らなかった世界を見て、感動して、それでいいのではと自分を許しています。

忘れるのを恐れていたら、これからの私は何も出来ません。読んでいるときに、見
ている時に、何か心に響くものがあれば、それでよしとしています。


主人公のイオンは児センを脱走して、一人で生きていくストリートチィルドレンだ。
児童養護施設で「愛」を知らないで育ったイオンはやっぱり他人に「愛」を感じな
い少年だった。しかし、一人生活していくうちに、だんだん周りの人間と親しみ、
愛されるようになっていく。

この本の題名である「優しいおとな」ですが、おとなには、「優しいおとな」「優
しくないおとな」「どっちつかずのおとな」が居ると書かれています。一番癖の悪
いのが、「どっちつかずのおとな」です。なぜなら大方の「どっちつかずのおとな」
は自分の都合で「優しくないおとな」に傾いて、子どもをいじめる側に廻るのです。

「闇人」とか「川人」とか聞いたことがないような生き方の集団に流れていくイオン。
私には実際に、これに似た集団があるのかないのか、何故かあると信じたい感覚で
この本を読みました。

この本の中で心に残った言葉は

『人間は記憶で生きる。昔の記憶。少し前の記憶。昨日
の記憶。それらが、自分と言う人間を作る』


今まで考えたこともないことだけれど、「なるほど」と思う。「記憶」と言う言葉
ではなく「思い出」という言葉に置き換えれば、実感がわく。私の今までの生活が、
記憶となって、私の心に留まり、「それこそが私である」と言う。私って?と考え
た時、過去の私を思い出し、私が形作られていく。

そんな事を考えさせられた本でした。



            「椿」   尼崎・大井戸公園   (11-3-20)



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする