きもちよい秋晴れの日。
ひさしぶりに鎌倉山へくるみのパイを買いにでかけた。
すぐ先にロータリーがみえる。
わたしの子ども時代には
木々が生い茂り日中も薄暗かった気がするのだけれど、
いまでは木がだいぶ減り、日あたりも風通しもよくなって
こざっぱりと明るい。
それはそれで悪くはないのだけれど、
なんだかどこも似た風景になりつつあるようで味気ない気もする。
うえから眺める鳥たちの目に山の変化は一目瞭然だろう。
かくいうわたし自身、山を切りひらいた土地に住む。
現代の日本に生まれ、暮らし、考えるということは、生易しくはない。
そんなモノ思いに引きずられがちな鎌倉山に
このお店があってよかった…とわたしが思うのが、
紅茶と焼き菓子のお店、ユスラウメ。
菓子屋の本分をまっとうして、なによりもまず、味がいい。
焼き菓子に重要なバターをあつかうのには不向きな
（日本の南関東の）盛夏には、２ヶ月くらい店を休みにする
思いきりのよさと誠実さも好感度をたかめるし、
絶妙な手のいれ加減の庭も悪くない。
居心地のよい店内でもたべられるのだけれど、
自分用に買うことはほとんどないので店内で食べたことはない。
この日も、くるみパイをホールで買って帰宅した。
きっと、おいしいものは「めぐる」もの。
「食べさせてあげたい」「一緒に食べたい」…たぶん、そんな思いとともに。
