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サッカー日誌 / 2014年07月11日


ビバ!ブラジルW杯時評(5)


ブラジルの歴史的惨敗
準決勝、ドイツ 7対1 ブラジル
(7月8日、ベロ・オリゾンテ)

★リードされてパニックに
 準決勝2試合は2日に分けて2都市で行われる。最初の試合の会場はベロ・オリゾンテ。当日の午前にサンパウロから出かけた。サンパウロの北、600キロの美しい町である。約7時間のバスで往復した人もいる。
 試合は意外な展開となった。
 前半11分にドイツがコーナーキックのチャンスを生かして先取点を挙げた。この1点だけで早くもブラジルの守備陣は動揺した。さらに23分、右から攻め崩されて2点目を奪われると、もうパニック状態である。24分、26分、29分と6分間に4点を立続けに奪われて勝負にならなくなった。
 記者席のモニターテレビに憮然とした表情のフェリペ・スコラーリ監督の表情が写った。監督が手を打つ暇もなく、ブラジルの守備陣は崩れ落ちた。
 こんなワールドカップの準決勝は見たことがない。こんな惨めなブラジル代表も見たことがない。

★度を失って自滅
 2点目をとられた時点でも残り時間は70分ほどある。落ち着いて体勢を立て直せば、ブラジルのチーム力をもってすれば、逆転の可能性は十分あるはずである。
 にもかかわらず、ブラジルの選手は一人一人が我を忘れていた。ボールを得ると、自分だけで何とかしようと攻撃を焦って自滅し、相手がドリブルで進んでくると2人のディフェンダーが同時に迎え撃って、まとめてかわされた。それが反撃の裏をつかれた大量失点の原因である。
 選手たちが度を失ったのは「絶対に勝たなければ」という気持ちが強すぎたためだろう。
 フィールドに出てくるとき、手を前の選手の肩に当てて列を作り、チームの一体感を確かめていた。全員がスタンドの大観衆とともに、大声で国歌を歌った。スタンドには「心配するな、ネイマールの魂は共にある」とサポーターが横幕を掲げていた。

★むかしのブラジルの強さ
 スタジアム全体に悲壮感が溢れていた。
 開催国として、サッカー王国として,優勝することを期待されている重圧の上に主力のネイマールとチアゴ・シルバが出場できないのを「なんとかしなければ」という義務感がのしかかっていた。
 ブラジルが先取点を取っていれば、それが起爆剤となって悲壮感と義務感を勝利へと推し進めただろう。それが逆の結果になってしまった。
 それにしても「むかしのブラジルはすばらしかった」と思う。1962年のチリ大会では、ペレが負傷して出場できなくなっても厚い選手層にものを言わせてチームを建て直し、1970年大会の決勝ではイタリアに同点にされても、慌てず騒がず、個性の強いスターたちが一体となって跳ね返した。
 あの強さと冷静さが失われたのはなぜだろうか?


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