サッカー日誌 / 2009年12月12日


ワールドカップ2010抽選会(下)


アフリカ開催の意義と理念
12月4日(金)南アフリカ・ケープタウン

★マンデラ元大統領のメッセージ
 ワールドカップ組み合わせ抽選会では華やかなエキジビションとお偉方のスピーチがある。南アフリカ大会の抽選会でも、その一部が日本へのテレビ中継で伝えられた。
 そのなかで、最初に出てきたネルソン・マンデラ元大統領のメッセージが印象的だった。かつて白人支配の国だった南アフリカで、人種隔離政策に抵抗して長年の獄中生活を送り、黒人が権利を回復したあと大統領になった。ノーベル平和賞を贈られ、その名前と業績は世界に広く知られている。
 マンデラ元大統領のメッセージは、会場に設けられた巨大なスクリーンにビデオで映し出された。大会開催の理念と意義を世界に伝えるために、もっともいい機会であり、もっともいい人選だった。短いメッセージのなかに、アフリカでワールドカップを開催することの意義と理念が、理路整然と簡潔に表現されていた。

★外へ向けて発信し、内の大衆に遺産を
 マンデラ元大統領のメッセージはまず、スポーツは人々を励まし、団結させるものだと述べた。次にサッカーは、世界の人びとの心を動かすスポーツだと述べた。
 そのサッカーの世界最高の大会が、アフリカ大陸で初めて開催されるのは、非常に意味のあることであり、南アフリカが開催国に選ばれたのは光栄であると述べた。
 そのうえで、ワールドカップの開催は、南アフリカ共和国の将来に「遺産」を残さなければならないと締めくくった。
 ワールドカップ2010は、世界の人々にアフリカの社会と文化を伝え、偏見をただすことになるだろう。地球社会の中でアフリカの地位を向上させる機会になるだろう。
 しかし、南アフリカ共和国が単に舞台を提供するだけであってはならない。大会開催は、南アフリカ共和国の大衆の役に立つものを残さなければならない。
 
★新しい国の姿と文化を伝える
 ワールドカップでも、オリンピックでも、開催する意義や理念がある。それを分かりやすく人びとに伝えて理解してもらわなければならない。
 前回のドイツワールドカップは、東西が統一されたドイツの姿を世界に見せる機会になった。また成熟したサッカーの先進国として「友好」をスローガンに掲げ、子どもも大人も家族ぐるみで楽しめることを大会のマークにも表現していた。
 1964年の東京オリンピックは、敗戦の痛手から復興しつつある日本の姿を伝え、日本の国民に自信と勇気を与えるものとなった。世界に対しては平和を訴え、国民に対しては国の誇りを強調し、大会のマークは五輪と日の丸だった。
 南アフリカ大会抽選会のエキジビションでは、独特のリズムのダンスが披露されていた。ダンサーの多くは黒人だが、白人も混じって新しい国の文化を伝えていた。

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