いろいろなご批判やご意見もあるかと思いますが...
3/21、南相馬市にある避難所（原町第一小学校）に、わずかではありますが食品や飲料の支援物資を自主的に届けてきました。
福島第一原発から半径30km内の自主避難区域（屋内退避）のエリアにある南相馬市の病院や避難所には、放射能汚染を恐れて物資が搬入されてこないという情報を聞き、前日深夜に神奈川の実家のプリウスで出発しました。
（燃費がいいので向こうで給油しなくても帰って来れる）
原発の30kmラインギリギリを走りながら、昼１２時頃南相馬市に着きました。
すでに70～80％の住民が避難している町に人の気配は無いのですが、電気、水道、ガスのライフラインは復旧しているので、信号機だけが律儀に点灯しています。
小学校の校庭に満杯の自家用車が停まっていましたが、体育館には20～30人のお年寄りと若いスタッフ数人がいるだけでした。
僕は代表の方に食料などを渡し、「避難する方がいれば、東京方面に３人くらい乗せれますが」と提案しましたが、「その必要はありません。ありがとう」と言われました。
聞けば、避難が可能な人はほとんど避難したが、残っているのはどうしてもこの地を離れたくないという方々だったそうです。
体育館の外では「放射線の数値が低いから大丈夫、すぐに元の暮らしができるからここに残る」という年配女性と、「命あってこそ。原発がすぐに安全になったら、その時は遠方の避難先で笑い話にすればいい。とにかく今はこの地を離れるべきだ」と言う若い男性の議論が印象的でした。
そして小学校を出て帰る際に３匹の犬に襲われている男性に遭遇し、危ないので車に乗ってもらいました。
最初は犬を散歩させているのかと思ったのですが、棒状のものを振って追い払う仕草が見えたので、気づくことができました。
まだニュースにはなっていないですが、避難した人が泣く泣く放して行ったペットの犬たちが空腹のためか凶暴化しているようです。
男性は足を少し噛まれたそうですが、大きな怪我はありませんでした。
なんでも３匹中の１匹はまだ理性があったらしく、２匹を制止するように吠えていたそうです。「あの１匹のおかげでこの程度で済んだと思う」と言っていました。
この男性は体が不自由で避難が遅れている友人のお世話の為に町に残っていたそうで、ガソリンがない為に車やバイクが使えず、友人の家から歩いて３時間ほどかけて飯舘（いいたて）村の自宅へ帰る途中だったそうです。
飯舘村は今日のニュースでもあったように摂取基準の３倍超の放射性ヨウ素が検出されました。
男性は「空気中の放射能が低くても、雨が降ればそれが土壌に蓄積していく。ここは住めなくなるのかな... 悔しいなぁ...」とつぶやき、僕は返す言葉が見つかりませんでした。
南相馬に向かう途中、物資が来ないといういわき市も通りました。
こちらのガソリンスタンドでは東京や北関東よりはるかに長く３～５km以上の長蛇の列です。
コンビニや飲食店もすべて閉まっていて、あきらめて市外へ避難した人も多いせいか、こちらも人の気配はありませんでした。
NHKでも物資が届かない問題を言っていますが、とにかくガソリンさえ届けば、原発の周辺で風評被害を受けている地域の人も自分で物資を求めて東京方面などに出て行けると思います。
今現在のニュースで、製油所が再開したり、石油備蓄を２２日分引き下げたり、前向きなニュースも聞かれますが、とにかく風評被害のいわき市が心配です。
最後にラジオ福島の男性パーソナリティーが語っていた、
「どうして福島は関東のために存在していた原発の事故に遭ったのに、いわき市は関東に見放されなくてはならないのか？」という言葉。
事故があるまで、あの原発を自分たちが使っていたことすら知らなかった僕はとても申し訳ない気持ちになりました...
あと、帰ってから灰色の煙やヨウ素濃度が高くなっていたことを知りました。
影響はないと言われても、やっぱり怖いものは怖いです...
原発で復旧作業をしているみなさんにはとにかく感謝と激励の気持ちでいっぱいです。
無事に仕事を終えられる事をお祈りします。
