アカネさんシリーズ001 恋のタイムマシーン 100できない小一郎ほど 「活動理論、離脱理論、どちらにしても理論は理論ですから……。どらちの理論にあう老人でかではなく。この理論がどうその人を幸せにするかが大切と思います」 職員食堂の昼食は、ご飯は食べ放題である。 おかずは食べ放題ではないから、お新香に醤油をかけて、小一郎は二杯目のご飯を食べている。 「食事が終わったら、オセロをしましょうよ。小一郎殿」 「ウグッ!」 小一郎は喉に詰めたらしい。 「どうした。小一郎。何かあわてるようなことがあったのか?」 永山はきく。茜はいう。 「小一郎と前の日曜日、オセロをしたの。小一郎殿は、ヘタッピーで一回も勝たないのよ」 お茶を飲みほした小一郎はいう。 「それは、それは、先輩! お年寄りに華を持たせようと思っただけですよ」 「本当か!」 「よく、いうわ。あきれた!」 「それじゃ、また、オセロをされてはいかがでしょうかね」 と、永山はからかい気味にいう。 「そんなこと、言わないでよ」 「やりましょう! ええ、やりましょう」 茜みたいだな。 声の調子を変えて話している、一人漫才しているみたいだよ。 やりましょう。ええ、なんて、自分でもう答えを決めつけているんだから。 「ははは」 永山は大笑いしている。 「小野さん、お手柔らかにしてやってくださいよ。わたしのかわいい、後輩なんですからね」 「ハハハ、できない小一郎ほど、かわいいってね!」 「ははは……」 職員食堂に笑いがこだまする。
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