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平凡社選書35 原子力の政治経済学

2008年12月18日 | 読書日記など
『平凡社選書35 原子力の政治経済学』
  川上幸一・著/平凡社1974年

表紙に書かれてありますね。下「」引用。

「考察に当ってとくに意を注いだのは、この異常な技術の歴史を政治、経済、産業、社会などの多角的な側面から、できるだけ生きた全体像においてとらえることがあった。原子力が戦後史に与え広汎な影響を考えれば、そういう総合的な認識と叙述の試みだけがこの革命的な技術にふさわしい手法だと思えたからである。」



表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「核問題を身近なものに近づけるひとつの有力な方法は、アメリカを中心に進められてきた原子力開発それ自身が、米国内はもとより国際的(とくにわが国)にも、著しい政治的・経済的・社会的なゆがみと弊害をすでにもたらしてきたことを、具体的な事例に即して回顧し、分析することではなかろうか。しかし核物理学から国際政治にまでわたるこの困難な作業が、資料の入手だけでも容易でないわが国で実際に試みられた例は、残念ながらごくわずかしかなく、成書も少なかった。-略-」

人類の不利益にまでなっている。下「」引用。

「原子力の今日までの歴史は、人類にとって恩恵よりも、むしろ不利益をもたらした面が多いと考えられる。人類が発見したこの革命的なエネルギーは、その発見(一九三八年)後間もなく軍事利用への道に向けられ、原水爆をはじめ多種多様な核兵器を出現させ、人類はその脅威のもとで今日まで暮してきた。また、最近における原子力発電などの平和利用産業の発展も、それを通じて核兵器産業の基礎が作り出されるという矛盾と、放射能による環境汚染の恐れにつきまとわれている。
 このような事態が、一面で原子力技術そのものの性格に由来していることは否定できない。-略-原子力の発見が投げかけたより大きな問題は、技術に対する人類の管理能力への信頼が揺らいだことであろう。」

関係した企業の数。下「」引用。

「この新産業の創出は、厳重な情報管制下に進められ、二○億ドルに及ぶ支出が、議会の承認を経ないで行われた。開発・製造・建設の大半は民間企業が、一部は軍の造兵機関が請負った。スマイスの公式報告に二○社あまり、グルーエフの『マンハッタン計画』に三○数社の名前が出てくるが、これらの関係の主要企業はほぼ尽していると見てよい。」

重要な四社。
(1)ハンフォード工場の建設・運営を請負ったデュポン(プルトニウム生産計画の全体の責任を負う)、(2)オークリッジのガス拡散工場運営を請負ったユニオン・カーバイト、
(3)オークリッジの電磁分離工場運営を請負ったテネシー・イーストマン(イーストマン・コダックの子会社)、
(4)金属ウランの生産、電磁分離法および遠心分離法の諸設備、その他電気関係機器の開発・製造で働いていたウェスチングハウス。

--その他に、ケレックス社、石油技術開発の専門会社ケロッグ社、スタンダード・オイル・ デヴェロプメント、インディアナ・スタンダード。

--化学系の会社として、モンサント・ケミカル。

--建設関係。
ストーン&ウェブスターが主役。
プルトニウム計画はデュポン、ガス拡散工場はJ・A/ジョーンズ建設会社、ストーン社はロスアラモス研究所、電磁分離工場、重水工場等を担当。

--黒鉛関係のスピア・カーボン、ナショナル・カーボン(ともにユニオン・カーバイトの子会社)、ガス拡散器を量産したクライスラー、隔膜を開発したウデーユ・ハーシェイ社(のちにユニオン・カーバイトが代る)、ガス拡散工場の配管を供給したUSスチール等々。

イギリスの企業も……。下「」引用。

「アメリカで調達できなかったのは高純度ニッケルくらいで、これはイギリスのインターナショナル・ニッケル社から購入された。-略-アメリカの産業能力が最大限に結集されたことは明らかである。」

デュポンからGEへ。下「」引用。

「これらの電機企業、とくに前二社は戦後次第に頭角をあらわすが、その契機は、ハンフォード生産施設のデュポンからゼネラル・エレクトリックへの運営移管、および戦時の段階では捨てていた原子炉発生熱の動力利用の登場であった。」

三つの炉をGEはつくったという。下「」引用。

「ハンフォードのプルトニウム生産施設の拡張。ハンフォードの運営は、戦時中のデュボンからゼネラル・エレクトリックに移管され(四六年九月)、後者の手で新生産炉のH炉(四九年完成)、DR炉、C炉(五○年完成)の建設と、化学処理工場の増設が行われた。建設費は住宅地の整備を含めて三億五○○○万ドルであった。」








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