あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 162 永六輔さんのテレビ番組 茜はテレビをつけた。教育テレビの視聴覚障害者の番組をしていた。 永さんがは同性愛について語っている。 右には手話通訳の人がいて、永さんのいったことを通訳していた。 「男とか女とか、男はこんな風になければいけない。女はこんな風にいなければならないというのは、まったく近代になってからはじまったことです。世の中にゆとりがなくなってきて始まったものです。男が女を愛す。男が男を愛す。その気持ちに何の違いも本当はないのです。その二人の間ではそうですけど、社会は差別を彼らに与えます」 まったく、そのとおりだ! と茜は思う。 「男らしい女の人がいても、いいではないか! 女らしい男がいてもいいではないか! 男が男を愛してもいいではないか! ☆さん、ちゃんと、手話通訳してますか」 何か、男とか女とか愛するとかの☆さんの手話は感情をあらわにしてるようで、とっても、おもしろ、おかしい。 「ちゃんと通訳しておられるでしょうか? わたしは通訳の☆さんのことが好きです。そして、信頼もしています。でも、わたし☆さんを恋愛してるわけではありません。でも、憎んでるわけではなく、わたしは☆さんのことが好きです。でも、恋愛はしてません。愛とはとっても、個人的で個別的なものなのです。人間自身がそうなのです」 ☆さんは吹き出してからも、通訳を繰り返した。 「その通りだ! 永さんは、さすが、この世界でも、わたしのいた世界でも、同じではないか」 茜は永のファンだった。永は立派な人だと茜は思っているし、彼の本を何冊も読んでいるし、ラジオ放送も毎週きいている。 しかし、この世界の本当の茜は中年の永のことなど、まったく興味がない。 「ホームレスの問題にしても、まったく、個人的なものなのに、それをホームレスと一言でいってしまうところに、この問題の根の深さはある」 ということを、ラジオで永さんがいっていることがあったのを思い出した。 しかし、今となっては格差社会をつくりだされたからとも思うけど……。 ドアを叩く音がした。 「あのオカネお嬢様!」 また、オカネスキーの声だった。
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