総理がコジキでコジキがソーリィー 037 青空をみていた 「でも、おじさん、ケースワーカーだったんだろう。だったら、ぼくの相談にのってくれるかい」 「わたしがかい?」 ソーリィーは驚いていた。 まだ、何の話があるのだろうと思う。 「そうだよ」 少年は自然とそう返事した。 とても明るい声で、自分でもびっくりした。 「ねえ、おじさんってさあ、何か矢佐和栄吉に似てない?」 「矢佐和栄吉、キャッソルのかい」 「キャッソル? ぼく、そんなの知らないよ。矢佐和栄吉って、缶コーヒーのコマーシャルに出ているんだよ」 「そう、そうだったら、キャッソルにいた矢佐和栄吉だよ。矢佐和は不良のアイドルだったんだよ。不良って、まぶしい存在だったなあー。今の悪いやつらと違ってハートが温かかったよ。今も栄ちゃんは、温かいけどなあー」 「あの人が不良のアイドルだったの」 「そうさ、矢佐和栄吉は、リーゼントで決めていて」 「リーゼントって、もしかしたら髪形のことでしょう」 「そうだよ。不良がする髪形だったんだよ。そう大人たちは言っていたんだよ」 昔は良かったと思うし、矢佐和は今も素晴らしいとソーリィーは思う。 その矢佐和に似ていると言われて、矢佐和は少し照れ臭かった。 しかし、よく考えてみれば、悪いやつももちろんいた。 でも、そいつらをきちんと悪いとも言えた時代でもあったなあ……。 ソーリィーは青空をみていた。
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