ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 



黒沢ビル。台東区上野2-11。2007(平成19)年10月24日

風俗店飲食店が立ち並ぶ上野仲町通りにある黒沢ビルは1929(昭和4)年(1930年という資料も多い)に、眼科医の小川剣三郎(1871-1933)が「小川眼科病院」として建てた。RC造3階地下1階建。小川は竣工後4年で脳溢血で急逝、後を継いだ黒澤潤三郎(小川の親族という)が医院長となったため黒沢ビルの名称になった。「正面1階の鉄平石張,尖頭アーチ窓やコンクリート製幌状の庇など表現派風意匠に特徴がある。屋上には温室風の紫外線療法室が残り,室内随所に小川三知作ステンドグラスをみることができる」(『文化庁>国指定文化財等データベース』)。
小川三知(1867-1928)は大正期から昭和初期に活躍したステンドグラスの作者として有名。小川剣三郎の実兄である。黒沢ビルのステンドグラスは建設前に既に完成していたらしい。三知はビルの竣工を見ずに亡くなった。
現在、ビルの見学会が月に一度行われている。予約と寄付が必要だが、透過光による本来のステンドグラスを見ることができる。



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