ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




旧東京市営店舗向住宅。江東区清澄3-3。1991(平成3)年6月16日

清澄庭園の東の縁に沿って2階建ての長屋風店舗が並んでいる。RC造の洋風の建物で、6軒長屋が基本のようで8棟。関東大震災の復興事業として東京市が建設して、1928(昭和3)年に48戸が竣工した。
各店舗の間口は二間半。各棟の二階の左右角にアールデコ風の幾何学模様のレリーフの飾り、パラペットの軒蛇腹、各戸2階の3列の縦長窓とその間の柱、店名の文字を入れるための1階上の2本の太い平行線の間の壁、といった造りが共通だったようだ。
今は正面は個々に改装され、屋上に小屋を増築している家も多い。元々は東京市の賃貸住宅だったが、戦後1953(昭和28)年に居住者に払い下げられた(『achitects composite>江東区散歩4』)。その値段は『東京建築懐古録Ⅲ』(読売新聞社編、読売新聞社、1991年、1942円)では、15万円。それ以降、改装と増築が始まったわけだ。

上の写真は北端の棟から南の方向を見た街並み。25年前のものだが現在も店の看板を除けばほとんど変わらない。右端は歯科医の看板が出ている。工具店の木谷商店の左は茶舗の「よしの園」。隣の笠川表具店は現在も看板は残っているが廃業したようだ。




上:藤屋商店。清澄3-3。1988(昭和63)年12月31日
左:引き戸の家。清澄3-3。1989(平成1)年11月26日

1枚目写真の左端よりやや右といった辺り。上写真右の食料品とタバコの店が藤屋商店。現在は別の店に替わっている。壁がすっかり汚れてしまっている家がほぼ建築時の外観をとどめていると思われる。現在、この家は取り壊されて小さな緑地になっている。
1階が古い引き戸の家は撮った写真を見る限りではこの一戸だけだ。ガラス戸の桟が2階外壁の装飾に合わせたもののようである。戦火を免れて残ったものなのだろうか? 二階の窓も古いままだ。

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